どうもこんばんは、鳥(@S_amaboshi)です。
漫画でいう「ダレ回」みたいな旅録3日目をまとめました。ご覧ください。
青春18きっぷを使って4泊5日の旅に出たあまぼしすずめ。
琵琶湖で夜を明かし、さらに西を目指す。
2日目に訪れた先は5年ぶりの鳥取砂丘。
広大な砂地にひとり、長い夜がはじまろうとしていた……。
鳥取砂丘はプラネタリウム?
午後9時、海辺特有の湿った風に涼が混じってきます。
私は鳥取砂丘の中心で、カメラを回しながら寝っ転がったり愛を叫んだりしていました。
で、気づいたのです。
鳥取砂丘はプラネタリウムだな、と。
砂丘は入口から中心に向かって下り坂になっており、馬の背付近から再び登りの急斜に変わります。
そのため、標高が低い(という言い方が正しいかはわからないけど)部分は、すり鉢の底のようになっているのです。
オアシス辺りは、いわば蟻地獄の中心。
このすり鉢形状の底から見る空、見覚えがあると思えばプラネタリウムです。
寝転がると、いっさいの遮蔽物なく視界に空だけが広がる……。
視界の開けた高原であっても木々はありますし、海辺でも浜や岸の風景が視界の端に映ります。
日本において、空と地上の境が滑らかな壁のようになっている場所なんて早々ないんですよね。
けれど砂丘のすり鉢型であれば、円天井一面に広がる星空を叶えてくれる。
寝転がって星を見るなら理想の環境。
馬鹿でかい流れ星(火球)も天頂に見えたりして、大満足です。
そんなわけで、YouTubeに違法アップロード(?)されている Gentle Jenaなぞを流しながら、もう気分は完全にプラネタリウム。
かつては「木も生えないようなところは鳥取の恥部である」と罵られた場所ですが、木が生えていたらこの景色は望めません。
「働きもしないやつは日本の恥部である」と言われる私もいつかは鳥取砂丘になりたいですね。
そう、そんな感じで旅の疲れを癒し、心からの充足を得ていたのです。
……あのときまでは。
砂丘の夜は寒い
日付も変わるころになると眠くなってきました。
なにしろ普段は近所のキッズも騒いでいる22時台に就寝している31才児です。
オリオン座が昇ってくるまで仮眠をとることにしました。
どこで?
砂の上で。
砂丘入口には風よけなのか、頼りない柵が設けられていたのでこの横で眠ることにします。
それではグッドナイト!
…………寒い。
湿度こそ高いものの、やはり遮蔽物がない砂丘。
砂漠は日中と夜間の気温差が激しいのと同様、砂丘も夜間は冷え込むようです。
そして年間平均風速5メートルと、それなりに強風が吹く地域。
…………寒い。
このあたりで、家に置いてきた1枚のジャンパーへ思いを馳せていました。
雪山遭難した際に「こんなことならあのとき飲んでおけば良かった……ラーメンのおつゆ」と嘆くのび太の悲壮さを思い出しますね。
あ、「のび太の日本誕生」のワンシーンです。
しかも寒さだけでなく、あちこちから笑い声が聞こえてきます。
幻聴かと耳を澄ましても、やはり喋り声なのか笑い声なのか、人らしき気配。
おそらく砂丘で遊んでいる集団がいるのでしょう。
しかし広さゆえ姿は見えず、どういうわけか四方八方いたるところから風に乗ってゆらゆら声が届くのです。
気が狂ってしまう。
砂丘から一時退散を決め、レーズンロールおじさんと邂逅した休憩所に戻ってきました。
ベンチは硬いけれど幾分温かいのでここで寝ましょう。
――2時間後、午前2時過ぎ。
よく眠れたと自分でも驚きつつアラームで起床。
相変わらずくそ寒いの。いや、気温でいったら長野の方が寒いのでしょうけど、別に常日頃からホームレスをしているわけじゃありませんし。
自販機も「つめた~い」一色で寒々しく、肩を落としていると懐中電灯と杖を持ったおじいさんが夢遊病患者のごとく砂丘へ続く階段を登っていきました。
あんなフラフラの足取りで砂丘を渡っていけるのだろうか?
私も再び真夜中の砂丘へ繰り出します。
鳥取砂丘の朝
オリオン座とオアシスを絡めて撮るつもりでしたが、風が出てきて波立ってしまい断念。
かといって風紋ができるほどでないので、一番タチが悪い風ですね。
馬の背まで登り、しばらくぼんやりと海を眺めていました。
眺めていました、といっても鳥取港や港町、灯台の灯りやぽつりぽつりと漁り火が浮かぶだけで眼前の海は暗くてよく見えません。
不明瞭な水平線は世界が続いていない錯覚さえ抱かせます。
あの先は奈落の底などだと古代人的思考をしながら、虚無を見つめること2時間――
空が白んできました。
もしかして寝落ちをしていたのか頭がスッキリしています。
「鳥取砂丘ヨガ」なる単語をネットで目にしたときには宗教みてえな絵面だなと思いましたが、悪くないかもしれません。
気づくと4時も過ぎ、女子大生やら、男子大学生っぽい集団やらが続々と馬の背にのぼってきました。
今でも大学生を見ると同世代だと思ってしまうオバサンです。
こういう人間が将来、若いつもりで車を飛ばしてブレーキが間に合わなくなったりするんでしょうね。
黙って迎える日の出。
女子大生らのテンションとの落差がそれこそ鳥取砂丘のすり鉢レベルで、もう若くないのだとしみじみさせられました。
どうして旅先でそんな自覚をしなくてはいけないのでしょうか。悲しいものです。
ただ、私はリアルJC~JDの時期も枯れかけのレイディオで、そもそも瑞々しい時期など存在していないことに気づきました。造花でしょうか。
どうでもよい話ではありますが、最後まで砂丘内で夢遊病じいさんを見かけることはありませんでした。
銭湯「日乃丸温泉」へ
始発バスにて鳥取駅へと帰還。
まずは砂だらけの体を清めなくてはいけません。
というわけで、朝6時から夜0時までやっている日乃丸温泉へ(鳥取駅から徒歩10分くらい)。
お値段は450円とリーズナブル。なおドライヤーは有料でプラス40円。
近年主流のフロントタイプではなく、建物に入る時点で男女が別れており、脱衣所の中間に番頭さんがいる昭和スタイルです。
こんなレトロな銭湯、今じゃお目にかかれません。
というか初めて見ました、この古めかしいスタイル。
番頭さんはおばちゃんでしたが、男湯の脱衣所も見えるのでしょうか?
気さくに話しかけてくださったものの、人語が聞き取れない病のうえ地元訛りがわからず、4割くらいしか理解できていないのにハイハイうなずいてしまいました。
申し訳ありません。
平日の朝っぱらから銭湯へくる人も少ないのか、私と常連さんのふたりだけ。
若いころの樹木希林風な(つまりは内田也哉子似)の常連さんも、湯船につかりながら話しかけてくださいました。
山陰の方は優しいですね。
昔おばあちゃん家にあった、指が突っ込めるであろう扇風機が印象的でした。
ちなみに番頭さんがしきりに「熱いからがんばってね!」と注意した通り、お湯は稀に見る高温で、しばらく全身が浸かれなかったほど。
睡眠不足でそんなお湯に入ったら死ぬのでは? と危惧しましたが、若い肉体(?)は持ちこたえてくれました。
いやはや贅沢な時間でしたね~
おすすめされた「白バラ牛乳」が鳥取駅セブンにあったので購入。
風呂上りの体に染みわたる、たまらん。砂糖でも入れたのかと錯覚する甘さ。すずめ史牛乳部門に残ることでしょう。
というか、この牛乳が忘れられなくて、最近スーパーに行くたび匹敵するやつはいないかとお高い牛乳を漁っています。
でも貴方の代わりなんて見つからないの……。
すなば珈琲店へ
寝不足の日は朝食を食べた方がよいと聞くので、朝食を摂ることに。
「回転すし北海道・すし弁慶」なる回転ずし屋が気になっておりました。
(尚、鳥取県と島根県にしかないチェーンで北海道は関係ない)
が、朝8時から寿司を食べる輩もいないようで、開店は11時。
代わりに駅前のすなば珈琲へ入ります。
誤植ではなく「すなば」です。
長年鳥取で親しまれている珈琲店で、この存在があるからスタバは最後まで鳥取に進出しなかったのだとか。
なお、2015年に鳥取スタバ1号店がオープンした際は1000人が並んだらしく、決して県民にスタバが求められていなかったわけではない。……店に入るころには日が暮れそう。
せっかくなのでモーニングをいただきます。
困ったことに私のスマートフォン、ピントを合わせるという初歩的な仕事すら放棄しはじめました。バカチョンカメラ並みです。
コーヒーにプラスして、ロールパンとゆで卵、サラダとスープ。
以前は500円程度だったようですが、このご時世なので値上がりをして700円。
以下、一切忖度しないぶっちゃけた感想です。
とりあえず最初に謝罪しておきます。
まず、ちょい高い。外食をあまりしない貧乏ドケチ人間は、そもそもショバ代という雰囲気に金を払う概念が存在しないため、すぐ「家で作るならいくらになるか」と計算をしてしまう。なら家で食え。
駅前だからテナント料も高いだろうし、野菜や果物は原価がかかるからしょうがないのかもしれない。だが600円くらいには抑えてほしい、というのが本音。
それでもチェーン店に勝るなら納得できるのだけど、ぶっちゃけコ〇ダの方がいいな、とか思わせる味。ロールパンも特筆すべき点はなく、握りつぶしたら2つ合わせてピンポン玉ほどのサイズになりそうでやや物足りない。まあ、握りつぶしたりはしないけど。
で、問題はこのルネッサンス的な壺。
美術館の骨董品じみたシャレた器だからスープかと思いスプーンを入れたらみそ汁なんだぜ? おかしいだろ、この組み合わせでワカメのみそ汁は。
まあ、私もそういう珍妙な食い合わせをするから構わないけど、この入れちゃったスプーンはどこにもっていけばいいの? つーか逆にどこで使うのを想定してるんだ、スプーンは。
ああ……取っ手がもげてるから、熱いのにどこを持てばよいかわからないし。
で、もっとも苦言を呈したいのは、ゆで卵。
固すぎる。一体何分茹でたんだ? タルタルソース製造工場から逃げ出した代物だよ。もはや黄身が黄色を通りこして黒ずんだ黄緑になりかけているじゃないか。
ここらへんは好みの問題だけど、私は茹で卵作りに関しては変に自信を持っているきらいがあって、店にも同じレベルのクオリティを求めている。
具体的にいうとセブイレブンで売ってそうな、黄身がオレンジがかった、光を当てるとキラキラ光るくらい瑞々しい茹で加減が好きなのだよ。
もちろん茹でが足りなくて卵が潰れるより茹で過ぎた方が失敗がないし、固ゆでの方が作りやすいから仕方ないのかもしれない。
だがしかし、スタッフは本当にこの茹で卵で満足しているのか? 客に出してよい代物だと思っているのか? 自身も食べたいのか? え、固ゆでが好き? なら仕方ない。もう、決別しかない。
……いろいろ述べたが、コーヒーは苦味が強めで牛乳によく合い、美味。
もう珈琲店なのだからそれで充分なのかもしれない。むしろなぜ珈琲店に卵など求めているのだろうか、私は。
ツッコミどころは多々あるものの、席は隣とも距離が保ててゆったりできてよい。☆3.5!
以上。卵の固ゆでが苦手な無職の戯言と受け取ってください。繰り返しになりますが、珈琲は美味しかったです。
大谷翔平にサッカーをやらせるようなものなので、卵に関しては諦めます。
大都会岡山へ
智頭急行やら山陽本線やら、有象無象を乗り継ぎ大都会岡山県へ。
途中、恋の駅として有名な恋山形駅に止まりました。久々に来ましたが相変わらずシャ〇中みたいで愉快な駅ですね。
数日前には反社会〇勢力っぽい顔付きの人がディスって炎上しており、実にタイムリー。
一体この手の場所は誰がどいういう目的で作ったのだろう……と本気で考えましたが、普通に町おこしですね。恋人の聖地です。
なにやら最近、人を理解する力が弱すぎて自分が人間なのか心配になります。
人間学とかを学んだ方がよいのでしょうか?
14時過ぎ、岡山駅に到着。おやつごろですし何か食べておきましょう。
おやつ……?
岡山はデミかつと呼ばれる、カツにデミグラスソースをかけたものが名物らしく、さっそく店を調べました。
が、おかしな時間帯に食事をしているせいで、個人店は軒並み営業していません。
仕方なく駅中で、少しでも岡山らしさを感じられるデミかつセットを頼むことにしました。
いやにお腹が空いていたせいで、災害避難により捨て置かれた家畜が数日ぶりにエサへありついたかのような食べ方をしてしまいました。お里が知れて嫌ですわ。
その足で倉敷へ。
青春18きっぷガン無視で、下電バス(下津井電鉄)に乗り込みます。
水島コンビナート工場夜景
唐突に旅のコンセプトを発表しますが、『電車旅でどこまで星景と夜景を撮れるか』という試みをしていました。
人里から離れるほど良いとされる星景と、基本的に高所から見下ろして撮る夜景。
足が必須の撮影を、公共交通機関だけでどれほどこなせるか――そんな挑戦です。
なんか一昨年あたりにもやっていた気がします。
で、選ばれたのが琵琶湖周辺、鳥取砂丘、三重工場夜景の3つ。
どこかもう一ヶ所……、となったとき岡山は今まで宿泊経験のない場所だったのでついでに行ってみることにしました。
倉敷といえば水島コンビナート。
名だたる企業の石油化学コンビナートや製鉄所が東京ドーム530個分の土地に集結し、がんばっています(頭の悪そうな表現)。
というか、東京ドーム○○個分って言い表し方、ドームに全然馴染みがないから想像できません。25mプールとかにしてほしいですね。
ちなみに一般的な25mプールだと、水島コンビナートは577500個分くらい?
……いっそう実感がわかなくなったので前言を撤回します。
調べてみると水島コンビナートの工場夜景群は鷲羽山に登ったり、線路のセの字もない僻地へ行ったりしないと見れない模様。
一ヶ所バスで行きやすそうなうえに興味を引く場所があったので、今回の目的地に決めました。
撮影場所は倉敷市外れにある、何の変哲もない歩道橋。
行くまでに唐突な竹林が現れたりして、地元民いわく猪がでるそうです。
岡山、大都会じゃなかった……。
国道の奥には工場群があり、日が落ちて暗くなっていくと……
道路を走る車のヘッドライトとテールライトが軌跡状になり……
工場夜景と相まって「7」の文字に見えるのです!
通称、レーザーセブン。カーブが絶妙に7っぽさを際立てています。
同じくらいの交通量がないとバランスが悪いので、1枚1枚タイミングを見計らって撮影していきます。
テンションはMAXだったものの、突然リモコンの挙動がおかしくなり、家で見直すと半分がピンボケ写真でした。
肝心なときに失敗し続けてきた人生の縮図みたいな撮影でしたね。
まあ、数枚は撮れたので良しとします。
途中、話しかけてくれたおばさんが、
長野から来たの?
いいわねえ、長野へ連れて帰って~
といやにフランクでした。
すれ違う人のほとんどが挨拶をしてくださり、岡山県民への好感度が上がりました。
やはり桃太郎の子孫の方々は違いますね。
人間に戻る
さすがに3連続で徹夜まがいなことをしたら死ぬかもしれないと一抹の不安を覚え、今宵は宿を取りました。
観光地である倉敷美観地区付近には安いホテルがたくさんあります。
倉敷の人は船で川を移動して生きているかと思っていましたが、そんなヴェネチア的生活じゃないようです。
道路が敷かれていて、車や自転車を使っていました。……当たり前か。
3日分の服しか持ってきていないため、コインランドリーで洗濯。
乾燥機の表示を『10分/100円』と勘違いし、90分間にわたり服を乾燥させる拷問をしてしまいました。
安宿ながら大浴場がついており、なんと貸し切り。
故障を疑うレベルでお湯の温度が低かったものの、サウナがあったので☆4といたしましょう。
サウナでうっかり寝かけて、整うどころか逝ってしまうところでした。
命からがら這い出て風呂上りのふろしきまんじゅう。体への負荷が大きすぎる。
夜の倉敷川付近を散策する予定が、ふろしきまんじゅうの一気食いとサウナで動けなくなってしまったので大人しく寝ることにしました。
まったく、どうしてこうも計画性がないのでしょうか。
しかしながら、おいしいおやつ(ふろしき饅頭)に、ほかほかごはん(ふろしき饅頭)。
ひとりでなかよくぽちゃぽちゃおふろ、温かいふとんで眠る……
いはやは、人間っていいですねえ。
私はやはり人間だったのだ、と安堵の気持ちを抱え夢の中に落ちていくのでした。
4日目に続く
1日目@滋賀・琵琶湖周辺篇
2日目@滋賀~鳥取砂丘篇
3日目@鳥取砂丘~岡山倉敷篇
4日目@岡山倉敷~三重四日市篇
最終日@三重四日市~長野篇
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