どうもこんばんは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
需要の有無はさておき、「青春18きっぷ旅」2日目の旅録を綴っていきます。
需要がなくとも供給を続ける。
ブログ更新とはすなわち、排便と同質の行為なのである。
青春18きっぷを使って4泊5日の旅に出たあまぼしすずめ(31)。
琵琶湖で黄昏れ、余呉湖で迷子、最終列車で湖西を目指す。
たどり着く先は……?
宿(?)をたずねて三千秒
本来は余呉湖で一泊するつもりだったものの、アオコに興覚めし(理由がひどい)、急遽予定を変更。
近江塩津駅でJR湖西線に乗り換えて約1時間――。
9月3日(火曜日)の午後11時。
琵琶湖沿い、大津町北部にある堅田駅に到着しました。
読み方は「かたた」です。
どうにも締まらないというか、背骨を抜かれたかのような脱力感がある響きなので「かただ」にしてほしいところですね。知るかボケと地元民には怒られそうですが。
実は堅田駅、以前にも来ており3年ぶり2回目です。
「月が見たい(月食)」との理由ではるばる訪れた浮御堂の最寄り駅です。
今回は朝日を見に来ました。
ですが、場所は浮御堂ではありません。
目的地は琵琶湖大橋、です。
日の出スポットの候補としては、
- 柳が崎ヨットハーバー
- 白鬚神社
- 浮御堂(満月寺)
など、他にもいくつかありました。
で、脳内会議の結果、
最終的には膀胱が、
トイレがないと困る!
と言い張るので、鶴の一声もとい膀胱の一声で宿泊地はトイレがある「道の駅 びわ湖大橋 米プラザ」に決まりました。
道の駅に徒歩で行く日が来るとは。
びわ湖大橋米プラザは名前の通り、目前に琵琶湖大橋が広がります。
琵琶湖の湖畔で大橋の夜景を見ながら夜を明かそうぜ! という計画ですね。それではGO。
堅田駅から徒歩30分。キョゲー荷物が重い!
琵琶湖周航の歌に狂え!
無事「道の駅 びわ湖大橋 米プラザ」に着きました。
真夜中なので店も閉まり、トイレと自販機以外は何もありません。
車中泊をしている車が数十台、あとはアイドリングしっぱなしのトラックがいるくらい。
うるせえ!
GTAの世界なら鉄パイプで殴打するランキング3位だから覚悟しとけよ。
道の駅の裏側から湖畔に出られるようになっており、琵琶湖大橋が一望できます。
今夜はここをキャンプ地とします!
いえ、もちろんテントなぞ持ってきてませんし、たぶん設営したらダメ。
なので……女は黙って、地。
砂地なのでそのまま寝ころびます。
渚を撫でるような優しい波音と、大地から伝わる涼のエネルギー(底冷え……?)を全身に感じますね。
女性が夜中にそんな場所で寝たら危なくないですか?
キ〇タマ殴られたら痛いですか? みたいな自明の理を問うもんじゃありません。
いや、痛いかどうかは知らないけどさあ。
家や宿に比べたら危ないでしょう。
しかし、危険を恐れていたら成せないこともあるのです。
というわけで、不審者対策として念のため熊撃退スプレーを持ってきました。
人の顔面にかかると「生皮を剥がれたような猛烈な激痛が走り、目に入ると失明の危険性」とのことで過剰防衛になりかねませんが、そのときはそのときですね。
風向きだけは気をつけないとムスカどころじゃ済まされない。
……さて。どんなに画角を変えたところでしょせんは一本の橋。
工事中で真下には入れなかったので撮影場所も一ヶ所に絞られ、そうなると4時間も5時間も撮り続ける場所ではありません。
遊ぶのにも飽きたので、夜明けまで仮眠を取るべく横になりました。
大地のエネルギー(底冷え?)を感じつつ、着替えを枕に就寝。
明らかに眠る恰好ではないのに、ちゃっかりアイマスクは付けちゃいます。
↓私愛用のアイマスク。温かくなる!
しかし目を閉じて数分……眠れない。
北欧の赤ちゃんじゃあるまいし、現代日本人は野外就寝に慣れていません。
それより何より、聞こえてくるんです。
われ~は う~みの子~ さす~ら~いの~♪
何度も何度も何度も、延々とあのフレーズが……。
そう、琵琶湖大橋はメロディロードになっており、車が通るたび「琵琶湖周航の歌」が流れるのです。
全国にちらほらとあるメロディロード。
タイヤと路面の摩擦音が音階になるようアスファルトに溝を入れて調節するとか、地味にすごいわけの分からん発明です。
速度超過をするとテンポが早くなるため、スピード違反の抑止力になる……かどうかさておき、たまに鬼速で流れていくときがありました。
で、琵琶湖大橋のメロディロードは610mと長いため、フルコーラス奏でてしまうのです。
有料で深夜といえど県の主要道路。
通るわ通るわ、ひっきりなしに車が通る。
止むことのない琵琶湖周航の歌。
車の走行音だけなら耳栓でカバーできたのですが、この不安定な音域の琵琶湖周航歌がいやに響くのです。
気が狂う!!
いや、琵琶湖大橋の下は寝る場所じゃねえからさ、こんな所にいる自分が悪いのは重々承知のうえで……訊きたいが、近隣住民は平気なのか、これ?
すでに狂ったあとなのか?
堅田の人々に畏敬の念を感じつつ、夜は更けていきます。
一晩で一生分の琵琶湖周航の歌を聴いた。
これからの人生で聴く琵琶湖周航の歌は来世の貯金。
↓馬鹿みたいな動画。好き。
日の出in大橋
500回目の琵琶湖周航の歌が流れるころ、ようよう空が白んできました。
4時過ぎです。
いよ、待ってました!
長すぎる瞑想と思考のときを経て、飛び起きる私。
薄明から日の出まで、刻一刻と変わる情景こそ世界の美しさ。
うーん、寒色と暖色が境なく混ざりあい、段々と空が温かみを増していく時間、いいで――
ん!?
数分前より、躊躇いもなく琵琶湖へ入って行く釣り人がいました。
画角にも入り込んでるやんけ、おっちゃん。
露光中に目の前を行ったり来たりするおっちゃんが影分身をしてあちこちに写り込む始末。
ああ……もうちょっと、あと5メートルでいいから右か左に避けてくれれば……あと5メートル先にも魚いるよね、おっちゃん……。
ほら、そこパシャパシャしてるよ……サカナイルヨ。
祈りは届かず諦めて画角を調整。まあ、自由度が高い場所なのでその点はありがたいです。
意識は橋よりおっちゃんに寄りつつも、日の出。
今の時期、太陽の位置が東側すぎて左側から大橋と絡めるのは困難でした。
12月くらいがベストでしょうか。
まあ、私は日の出より夜明け前が好きなのでそこらへんは無問題です。
7時13分の電車に乗るため撤収。
30分かけて堅田駅に戻ります。
にしても、セブンイレブン建設のついでに作ったようなエントランスだな、堅田駅。
滋賀の都よ いざさらば!
闇深キッズ
朝から死相を浮かべたリーマンたちと電車に揺られ山科駅へ。
そこから快速列車に乗りかえます。
「無職が通勤・通学の時間帯に動くな」との自戒を忘れ、満員電車に踏み込んでしまいました。
関西で主流の転換クロスシートは一人で座れると快適なのですが、相席だったり通路で立ちになったりするとまあまあ地獄。
白目を剥きつつ通路に立っていたわけですが、ちょうど目の前に小3くらいの男の子が座っていました。
折り目正しき白のブラウスに灰色のズボン、私立の制服でしょうか。実に清潔で育ちの良さげなお坊ちゃまです。
いやはや、キッズも快速で通学する時代ですか。
幼稚園からお受験を経験した人間と、大人になったら同じ土俵で戦わなければいけない……。
打ちっ放ししか知らない人がタイガーウッズと勝負をするようなもんですよ。
生後7ヵ月からパター持っていたんですよ、彼。勝てるわけないじゃないですか。
やる瀬無さに打ちひしがれているオバサンをよそに、キッズスマホを取り出す少年。
視線の先にちょうどあるので、申し訳ないと思いつつ(微塵も思ってない)、画面を伺ってしまう私。
LINEに似たアプリには「ママ」とのやり取りが記されています。
今日は漢字のテストがあるよ
前回できなかったところはチェックして、同じまちがえはしないようにね
前回まちがえた問題はうんぬんかんぬん
タイガーウッズ教育、半端じゃねえな。これが一流の教育現場なの……か?
つーか、そんなの家で言え。
石垣島で生まれ育った人間が突如ラスベガスに召喚されたかのようなカルチャーショックを味わっていると、男の子が返信を打ったり消したりしているのに気づきました。
申し訳ないと思いつつ(微塵も思ってない)目を凝らしてみたら……
男の子がママに対して打とうとしている言葉はただ一言、
「つかれた」
ギョッとして眠気が飛びました。
そんなババアの驚きなど知る由もないキッズは、「つかれた」を打ったり消したり繰り返し、最終的に「はーい」と無邪気な返事をしてスマホを仕舞っていました。
願わくは彼が通学ではなく特別な行事ゆえに電車へ乗っており、慣れない環境に対しての「つかれた」でありますように。
いや、漢字テストがあるらしいからその望みは薄いけれど。
旅先でこの世の闇を垣間見ましたね。ウッズに光あれ……。
小休止in姫路
2時間も電車に乗っておいて今さらですが、風呂も入らず浮浪者然とした恰好で満員電車にいるのは大変よろしくない。公害です。スメハラ。
カメラやスマホ等々の充電もしなくてはいけない。
そして何より眠い。
というわけで姫路にて一度下車。
朝の10時からシャワーが浴びれて寝られる施設など、ネカフェかラブホくらいしか知らないのでネカフェへ飛び込みました。
姫路駅、なんと駅から姫路城が見える。
ロクな美的感覚も知識もないけど、この城は確かに美しいと思います。いつか行きたい。
姫路駅から3分の快活CLUBはアクセスがよいものの、シャワーのタオルがない点が大幅に減点です。
今回はタオルを持って行ったものの、銭湯じゃあるまいしタオルを持参してネカフェに行く奴なんていねえんだよ。☆2!
仮眠をしたら案の定寝過ごし、予定時刻に鳥取砂丘へ辿りつけなくなりました。
ので、急遽特急「スーパーいなば」を召喚。
18きっぷの旅で何をしているのか。
とはいえ、鳥取に行くには智頭急行を利用しなくてはいけなく、18きっぷが使えません。
どの道2000円近く払うのであれば、いっそ特急でもいいかなと思い楽をすることに。
この佐用(さよ)という駅が、兵庫県とは思えないほどまあまあド田舎です。
目の前に山が迫り、人もなくアブラゼミの声ばかりが満ちている駅。
町も面積の8割が森林という、実に親近感を覚える場所です。
都会の満員電車よりだいぶ息がしやすく、満身創痍の身体も癒されますな。
ウッズもこの町に来て療養したほうがいいよ……。
いなばに乗車後、本を読んでいたつもりが気づくと夢の中にいてあっという間に鳥取に到着。
5年ぶり鳥取県
懐かしき鳥取駅。
いまだ自動改札が導入されておらず、ずっとそのままの君でいてって感じ。
長野から山陰は遠いため頻繁には来れないのですが、星空スポットが多く「長期滞在をしてみたい町ベスト8」くらいです。
ちなみに飛行機だと片道約5万かかる模様。徒歩だと5日。ヒェッ……
名物らしいホルモン焼きを食べたかったけれど、16時半なんて微妙な時間のバス待ちタイムで食べられる場所はありません。
仕方ないので土産コーナーの試食なんかを貰っているうちに、バス乗車時間。
外国人旅行者が多いためか、料金表示が非常にわかりやすい。☆5です!
鳥取砂丘の夕暮れ
人々が撤退を決める17時前、鳥取砂丘に到着。
実は以前に鳥取砂丘の記事を書いたのですが、出来がイマイチで書き直すための再訪でもありました。
もたもたしているうちに、17時までのお土産ショップが閉店。
何を思ったのかアイスとモサエビの煎餅しか購入しなかったので、今晩はひもじくなりそうです。
何も買わず食べずで鳥取砂丘まで来てしまい、美味しそうなご飯を見ながら駆け込みで買ったアイスとエビせんなんぞを食べているがすでに空腹… pic.twitter.com/NcQwWfZoB4
— あまぼしすずめ@無職ブロガーin信州 (@S_amaboshi) September 4, 2024
今回の旅、ただでさえ18きっぷでの移動時間が長いうえ夜と早朝に活動しているせいで、真っ当な食事屋での食事が難しくなっています。ここらへんは今後の課題ですね。
情報量が少なすぎる看板。
夕暮れの鳥取砂丘。
夏は干上がりやすいオアシスも、台風の影響か残っています。
どこを見回しても砂、砂。
鳥取砂丘に来たら「馬の背」までは行かなくては……ということでGO。
距離にしたら400mくらいで校庭一周程度なんですけど、歩きづらさはそこらへんの砂浜の比じゃありません。
毎日鳥取砂丘でタイヤ引きのトレーニングとかしてたら多分痩せます。
機材が重すぎて馬の背が登れません。
歩けど歩けどエスカレーターを逆走しているかのように、重みで後ろに下がっている気がしてきます。
足を動かしても後退するとか、そういう拷問めいた現象は人生だけで充分なの!
無事登頂。
日本にいながら日本らしくない光景を見たければ、鳥取砂丘はおすすめ。
実はたいした広さじゃないのですが、一部だけ切り取ると雄大です。
水平線へ沈む夕日……山の民はそんな風景にさえ非日常を感じます。
街灯もないため、日が落ちた途端真っ暗になっていきます。
400mの道のりを30分かけて戻ると、鳥取駅方面へ行く最終バスが出たところでした。
駐車場からは1台、また1台と車が去っていき、辺りはだんだんと静かになっていきます。
小学校の引き渡し訓練で友達が帰って行く中、最後まで体育館に残されたことを思い出しますね。
ビジターセンターの灯りが煌々とついていたので、テーブルで夕食(モサエビ煎餅)といたしましょう。
ダイナミック手ブレ!
別のテーブルを挟み向かい合う形で、禿げあがった中年のおっさんがレーズン入りバターロールを食べていました。それ美味しいですよね。
図らずも目が合ってしまいます。
まるで恋でも始まりそうですが、双方髪の毛がとっ散らかっていて絵面は最悪です。
おっさんも今夜は鳥取砂丘が宿?
そうでないのなら、このオッサンはなぜ家に帰りづらくて公園で時間を潰すお父さん風な空気を鳥取砂丘で醸し出しているのでしょうか。
トイレへ行っている間におっさんは消えていました。
今宵のベッドは砂かベンチか
マインドフルイーティングでモサエビ煎餅を食べ、膨らまない腹に無理くり水を詰め込んで腹ごしらえ。
薄明も終わり空が暗くなってきたので、夜の鳥取砂丘に繰り出します。
ほぼ新月の今宵、地上が暗すぎる。
本当は月が少し出てるくらいが個人的にはベストなものの、さすがに月を調節するなどできないので仕方ありません。
実はこのあたりでお腹がすき過ぎて心にヒビが入りだしたわけですが、1時間半歩いて駅へ戻る元気もなく……。
そうなればもう、全力で夜の砂丘を楽しむしかないでしょう。
夜20時前、夜明けまではあと10時間。鬼滅の刃なら大敗北を喫しています。
この旅でもっとも過酷となる一夜が始まろうとしていた――。
つづく
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