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映画『天気の子』感想 変わってしまったものと、変わらない新海ワールド

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©「天気の子」製作委員会(https://tenkinoko.com/

少年と少女は、選んだ世界で生きてゆく――。

どうもこんにちは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。

新海監督の三年ぶりの最新作『天気の子』をついに見てきました。

新海監督、めちゃくちゃ好きなんですよ!

十数年前に初めて『秒速5センチメートル』を見た時からずっと、独白の言葉や雰囲気が気に入っていて、今でも『秒速』は自分の中で屈指の名作といってよいアニメです。

『秒速』は鬱エンドとかBADとか言われてますけど、ある意味で希望の残された作品なんですよね、あれは。

「いつかまた、一緒に桜を見ることが出来ると」
「私も彼も、なんの迷いもなく」
『そう、思っていた』

ここで山崎まさよしボーン! タイトルロゴボーン! って最高じゃないですか。

『君の名は。』から入ったファンはぜひ見てください!
(下記の記事はメチャクチャ下らない検証です)

まあ、なんだかんだ彼の作品の中でも『秒速』はインパクトが強かったのか、三年前に『君の名は。』が公開された時も、比較されたりしていましたね。

ラストシーンが少し似ているので。
新海も変わった、大衆向けになった等々言われました。

そして今回、『君の名は。』を意識しつつも新海監督らしさを出した最新作『天気の子』について、感想を書いていきたいと思います。

ネタバレはほぼありません。

『天気の子』あらすじ

『天気の子』は、東京という舞台を中心に、その名の通り天気について描いた物語です。

誰にとっても身近で、異常気象が騒がれる昨今においてタイムリーな題材です。

主人公・帆高は、高校1年生の家出少年。

離島から上京をするが、身元を隠しながら働き口を見つけることが出来ずに生活は困窮していた。

降り続ける雨と、雑多とした東京でぶつけられる冷たい現実。

孤独な帆高が縋るように訪ねたのは、フェリーの中で知り合った須賀という男が経営する、編集プロダクションだった。

彼の事務所に住み込み、帆高はオカルト雑誌ライターの卵として過ごしていく。

充足を感じ始めた帆高は、ある日一人の少女と出会う。

両親を亡くし、弟と二人暮らしをするひとつ年上の女性・陽菜。

彼女は願うだけで天気を晴れにする、不思議な能力を持っているのだが――、

秘密を共有した帆高と陽菜がの行動が、やがて東京の、ひいては世界の運命をも左右していくというSFチックなラブストーリーです。

前作と異なり、途中であっと言わせる展開が繰り広げられるわけではありませんでした。

しかし全体を通してキャラクターたちが魅力的で、人とのつながりが重なってラストに向けてのストーリーが作られているという印象を与えられる作品でした。

新海作品の主人公像の変遷と変わらないもの

新海作品の主人公像は、だいぶ変わってきたように思われます。

分岐点はちょうど中間の四作目、『星を追うこども』ではないでしょうか。

初期のころの主人公(男キャラ)は、序盤・もしくは中盤でヒロインを喪失するためか、めちゃくちゃ引き摺っているイメージがあるんですよね。

『星を追うこども』は女主人公ですが、森崎が今までの主人公に近い色を出していました。

反対にもう一人の男シンは、最近の新海作品の主人公に近いキャラクターです。

単純に初期の作品は大人になってからの姿が描かれ、最終的にもやっとする終わり方が多いのも理由ですが、とにかく主人公は陰気くさい印象を受けます。

まあ、私はあの『雲のむこう、約束の場所』や『秒速』に見られる、

「北の国からの純ちゃんかーい」

みたいなボソボソとした語りで延々とヒロインを想う系の主人公、好きなんですけどね。

でも多分、今は絶対ウケないでしょ、あれ。当時だって一部の人にしか受け入れられなかっただろうし。

若年層のなろう系人気を考えると、昔の新海作品なんて見たら死ぬんじゃねーの? って気がしますね。

それはさておき。
一方で『言の葉の庭』以降の主人公は、だいぶ変わりました。

やや短気ではあるものの、随分爽やかになりました。オシャレ。等身大の現代的な高校生とも言えます。

劇中でも比較的前向きな言動が多いです。

そしてストーリーのラストも、昔ほど湿っぽくなくなりました。
そりゃあ主人公像が変わればストーリーも変わりますね、って話ですが。

でも彼らの根幹にあるものは、変わっていないんですよ。

彼らはひたむきに、愛に生きているんです。
愛を失ったら死ぬのか? というくらいに、懸命に。

それは単純に恋愛というよりは、親愛に近いものでもあるのかもしれません。

今までの新海作品の中でも、帆高はそれがもっとも顕著に表れている主人公だと思いました。

例え狂っているとしても、想いを、愛を手放さない。

彼も、そしてヒロインの陽菜もとにかく前だけを向き駆け抜けているキャラクターです。
だからこそとても爽快感あふれる作品でした。

この爽やかさ、明るさは確かに初期の新海監督の作品にはないものでした。

でもやっぱり中心にあるものは変わっていないなぁ、と思わされます。

(完全な喪失感が立ち込める昔の作品がちょっと懐かしいですけどね。
天門さんの音楽は、あの雰囲気にこそ合っていたのかもしれません……)

ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、ラストでは『世界か彼女』の選択を迫られることになります。

新海監督お得意のいわゆるセカイ系というやつです。

でもなんとなく、今回『天気の子』はセカイ系を意識した作品ではないような気がします。そう読み取ることは出来るんですけどね。

現代における一つの答え

この作品のテーマの一つは、『選択』

ラスト、主人公は自らが選択した世界を生きていくことを決めます。
それこそが選択をした責任でもあるのです。

人間も自然もあるがままあればいい。

そんな一つの答えを示されたようにも思えました。

もちろん現実世界はそれだけだと破たんするでしょうが、世界そのものの本来のあり方を見せられた作品ですね。

この作品はまさに今見ることをお勧めします。

10年経っても色あせないとは思いますが、新海監督自身が、

東京オリンピックで東京が様変わりする前に、東京が変わってしまう話を書きたい

とおっしゃっているので、私たちもこのタイミングでその光景を見届けるのがいいのではないでしょうか。

おまけ

本編とは関係ないんですけどね。
パンフレット買ったんですよ。

そうしたら過去の新海作品をまとめて紹介しているページがありまして、その中の『言の葉の庭』(5作目)の紹介。

今までの4作、恋物語ちゃうんかーーい!! びっくりだわ!

おわりです。

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