どうもこんにちは。
好きなF値は1.4、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
この記事は「一眼カメラを始めてみたい」「買ったけれど、設定やレンズの見方がわからない」という方向けの、初心者講座になっています。
- 頭文字・EFマウントとRFマウントの違い
- APS-Cとフルサイズ、センサーサイズの違いとは?
- 単焦点・ズームレンズの違い
- F値について初心者が知っておくこと(イマココ)
- USMとSTMの違い・ISとLの意味について
今回はF値(絞り値)について!
キヤノンレンズの見方講座として始めましたが、今回の話は全メーカー共通です。
一眼カメラの設定には『F○○』という項目が存在します。
- このF値は何を意味するのか
- F値を変えることで、撮れる写真はどう変化するのか
- 被写体によっておススメのF値はあるのか?
ざっくりと、基本をわかりやすく解説していきます。
いかにも「スマホではないカメラで撮った!」とわかる、このようなボケも、
F値を理解すると撮れるようになります。
写真を撮っていく上でとても重要な値です。
このF値を理解することが写真表現の方法も増えますので、ぜひ覚えておきましょう!
Contents
F値(絞り値)とは?
F値とは、カメラに入る光の量を調節する値です。
レンズは『絞り羽』と呼ばれる板が、多角形または円形に組み合わさっています。
光は、この絞り羽が作る穴(隙間)を通っていくのです。
つまり穴(隙間)が大きいほど、多くの光をカメラに取り入れることが出来ます。
この穴の大きさを調節して取り込む光の量をコントロールすることが、『F値を調節する』こととなるのです。
- F値を大きくしていくことを、F値を絞る(絞りを絞る)
- F値を小さくしていくことを、F値を開ける(絞りを開ける)
と呼びます。
- F値が大きくなる(絞る)= 穴は小さくなる → 取り込む光が減る
- F値が小さくなる(開く)= 穴は大きくなる → 取り込む光が増える
とくに重要ではありませんが、Fは焦点距離(focal length)から取られています。
しかし本当の焦点距離を示す「f」との混同を避けるため、大文字で記します。
F値を変えると写真はこんなに変わる!
では実際にF値を調節することで、写真がどのように変わるのでしょう?
ボケ具合が変わる
とても雑に言ってしまうと、F値を小さくする(絞りを開ける)と、ボケた写真を撮ることができます。
(実際にはF値だけでボケた写真が撮れるわけでもないですが※後述)
実際に焦点距離35mm(APS-C機なので56mmほど)のレンズで、同じ被写体を撮影してみました。
F値が小さくなっていくにつれ、背景がボケていっているのがわかるかと思います。
F値を小さくする(絞りを開ける)と、ピントが合う範囲が狭まるためボケた写真が撮りやすいのです。
このピントが合っているように見える範囲(ハッキリと見える範囲)のことを被写界深度と呼びます。
- 被写界深度が浅い = ハッキリ見える範囲が狭い = ボケが大きい
- 被写界深度が深い = ハッキリ見える範囲が広い = ボケが小さい
ここまで突き詰めるのは初心者講座の域を出てしまうため、今回は割愛します。
しかしイメージしやすい例えを出すと、手で作った望遠鏡で視界を狭めて見ると、少しだけ対象が見えやすくなった経験はないでしょうか?
あの手で視界を狭める行為が、カメラでいう絞りを絞る行為になるのです。
- F値が小さい(絞りを開く)と、被写界深度が浅い
- F値が大きい(絞りを絞る)と、被写界深度が深い
明るさが変わる
こちらは想像しやすいですが、F値を下げる(絞りを開く)と取り込む光の量が増えるので、明るい写真を撮ることができます。
同じシャッタースピードで撮った場合。
F8ではだいぶ暗いですが、F4では明るいですね。
明るさは、シャッタースピードでも変えることができます。
シャッタースピードが遅ければ、その間光を取り込むので明るい写真が撮れます。
しかし手持ちで持つ限界の速度は、焦点距離の1/10のスピードだと言われています。
(焦点距離35mmであれば、1/35秒。
これよりシャッタースピードを遅くすると手ぶれが起こる)
そのためF値を調節する方法を覚えておくと、手持ち撮影でも明るい写真を撮ることができます。
ボケた写真を撮りたいならF値を下げて(開放して)みよう
てっとり早くボケ感のある写真を撮るには、F値を下げてみることです。
絞りを開放してある程度被写体に近づけば、ボケた写真を撮ることができます。
F値を下げるだけではボケた写真は撮れない?
いきなり前言撤回ですが、F値を下げるだけでは背景がボケないこともあります。
そもそも写真のボケには、以下の3つの要素が関わっています。
- F値(解放値)
- 被写体との距離
- カメラの焦点距離
F値であれば、高いほどボケる範囲は少なく、低くなるほどボケ感が増していきます。
これと同様に、被写体に近づくほど焦点を当てたもの以外はボケて、カメラを望遠にすればするほど、ボケた写真になるのです。
つまりF値を1.4や2にしても、被写体が遠すぎたらボケません。
焦点距離18mmなどの広角レンズも、ボケを作ることが難しいのです。
この感覚を理解するのに役立つサイトが、
上記のサイト。
F値や焦点距離、被写体との距離を自由に設定して、どのような写真になるのかシミュレートすることが出来るのです。
英語なので細かいところはわかりませんが、結構楽しいです。
試しにフルサイズカメラで撮影したという設定で見てみましょう。
① F2.8 焦点距離85mm 被写体との距離300cm
85mmのレンズは人物撮影に使うと、いい感じに背景がボケると言われていますがその通りですね。
どうでもいいですが、この金髪のねーちゃんは身長170cmという設定らしいです。
② F2.8 焦点距離24mm 被写体との距離300cm
今度は24mmの広角レンズで撮影した場合。
ゴジラみたいなシチュエーションになっていますが、背景がくっきりしているのがわかるかと思います。
③ F2.8 焦点距離85mm 被写体との距離1000cm
これは被写体から距離をとった場合。
こちらもあり得ない構図なものの、①と比べ背景がハッキリとしています。
運動会なんかがこのような状態で、遠くから撮影するとよほどの望遠レンズでないと周りの子どももハッキリ写り込んでしまいます。
このように、単純に「F値を下げれば周りがボケる!」というわけではありません。
ボケた雰囲気のある写真が撮りたい場合は、以下の3点を意識してみましょう。
- 被写体に近づく
- F値を下げる(開放する)
- 中望遠~望遠レンズを使用する
ある程度焦点距離のあるレンズを付けて、被写体に近づいてみる。
これが一番簡単にボケた写真を味わえる方法になります。
という方におススメなのが、Canon 単焦点レンズ EF50mm F1.8 STM。
これはF値が1.8、焦点距離が50mmなので、APS-C機であれば約80mmの中望遠になります。
単焦点レンズのため、被写体に近づく練習にもなります。
値段も1万円台で買えるお手頃レンズで、初心者向きと言えます。
ボケた写真に憧れて一眼を始めた人は、入門レンズとして持っておくと良いでしょう。
使ってみた感想や作例などはこちらで紹介しています。
被写体ごとのおススメF値 まとめ
この通りに撮るのが良い、というわけではないですが、被写体やシチュエーションによって大体おすすめできるF値があります。
F1.4~F4 ボケを大きくしたい・単体強調・暗所での撮影
F値を開放することで、周りがボケます。
ひとつの被写体を目立たせたい時にはおすすめの設定になります。
また星景写真撮影ではF値4以上のレンズはほどんと使い物になりません。
(取り込む光の量が足りないので)
水族館など暗所での撮影も、F値が高いと暗くなってしまいます。
とくに水族館のような生き物を撮る場合は、
という撮影が難しいので、F値の低い明るいレンズを使うことをおススメします。
シャッタースピードを遅くするとこうなります。
まあ、これはこれでいいのですが。
F4~F5.6 バランス重視のスナップ写真
普通の写真といいますか、普段の撮影といいますか。
スナップ写真はこの設定がバランスよく撮影できます。
題『背く者』
手持ちでぶれることもなければ、ピンボケを起こす心配もありません。
場合によってはスマホカメラでの撮影と差異が付けにくいので、最初のうちは一眼の良さがイマイチわからない設定でもあるような気がします。
とはいえF5.6あたりがレンズの性能をもっとも生かせる、とも言われています。
F8~F11 風景写真向き
ある程度のシャープさを出し、明るく撮れるのがここらへん。
風景写真などに向いています。
しかし天候や時間によっては手ぶれが起きてくるため、三脚が必要になってきます。
ちゃんと撮れているように見えても見直すと結構ぶれています汗
F13~ 夕焼け・夜景・建築物
F値を絞ると、精細な写真撮影が可能です。
そのため夜景や建築物などはF値を絞って撮影すると引き締まった写真になります。
(遠近両方のピントが合った写真を、パンフォーカスと呼びます)
また夕焼けも少々F値を上げて暗めの写真にすることで雰囲気がでますね。
……どっかのリア充映っとるやんけ!
手前から奥までハッキリくっきりと魅せたい場合は、絞りを絞って撮影してみましょう。
レンズは絞ると画質が良くなるが、絞り過ぎると劣化する
レンズは中央部分がもっとも性能が高く、周辺にいくにつれて劣化していきます。
つまりF値を絞って中心部分だけ使う方が、高画質な写真が撮ることが出来るのです。
というわけにもいかず、レンズは絞ると画質が良くなるのですが、絞り過ぎても画像が劣化してしまうのです。
この現象は「回折現象」と呼ばれています。
原理は難しいのでざっくり説明すると、絞りを狭めすぎると適切な量の光がセンサーに届かなくなることで起こるのです。
この現象はF値が16を超えたあたりから目立ちはじめ、F22以上だと顕著になると言われています。
つまり絞りの限界はおよそ16あたりということですね。
30以上F値を絞れるレンズもありますが、まあ使うことはあまりないでしょう。
まとめ
F値の話をまとめてみましょう
- F値とは、絞り羽を調整する数値のこと
- F値を下げる(絞りを開放する) ボケた明るい写真が撮れる
- F値を上げる(絞りを絞る) くっきりとした暗めの写真が撮れる
- 絞るほど画質は向上するが、絞り過ぎると劣化する
難しい仕組は後ほど覚えるとして、まずはF値を変えると写真がどう変わるのかを意識してみるとよいでしょう。
おすすめの撮影方法は、Avモード(絞り値優先)です。
シャッタースピードはオートで、F値を自分で決めることができます。
動きが速いものや暗所では使えないものの、通常撮影ではとても使い勝手のよいモードですので、ぜひ利用してみてください。
以上です
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