どうもこんにちは。
あまぼしすずめ(@S_amaboshi)改め食い意地張りババア3号です。
唐突ですが、杏仁豆腐をご存じですよね。
ええ、あの白くてプルンプルンしたゼリーみたいなアレです。
牛乳寒天との違いは?
なんて思う人もいたり、
そもそも杏仁って何?
っていう人もいたり。
認知度は高いのですが、起源が中華料理であるためか「美味しいけれど謎の存在」感があります。
あまつさえ上に乗っている赤い実が杏仁だと勘違いしている人もいたり。
あれはクコの実!
まあ、結論からいうと杏仁豆腐とはアンズの仁(じん)を原料とした食べ物なのですが、今回はそれを近親の桃で作ってみようぜ、という試みです。
ゆくゆくはプルーン、梅、スモモ、アーモンドなどあらゆる種で実験予定ですが、取り急ぎ桃で作ってみました。
多分そのうち飽きます。
それでは、Let’s Cook annniiiiiiiiiiiin!!
Contents
ちょっとアンズについて知っておこうか
杏子(アンズ)は中国原産のバラ科サクラ属の落葉樹で、英名の「アプリコット」で知られています。
900年ごろに日本へ渡来し、現在では長野県や山梨県、山形県で栽培が盛んです。
特に長野県は「あんずの里」として知られる千曲市もあり、日本一の生産を誇っているわけですが、伊代宇和島(愛媛県)から嫁いだお姫様が国を忘れないために故郷の花を持ち込んだものが繁殖したのだとか。
故郷を愛する心、素晴らしいですね。
私も県外へ嫁に行く際は雷鳥を抱えていきます。
話は早速脱線しましたが、アンズの旬は6~7月の数週間。
出回り時期が短いため市場ではあまり見かけません。
というか、アンズ自体が昔からの種は酸味が強いため生食に向かず、干したり漬けたりして食べられてきました。
サクラ属だけあり桜のような、どちらかといえば梅に似た丸っこい小ぶりの花を咲かせます。
杏仁・杏仁霜(あんにんそう)とは?
で、肝心の杏仁ですが、アンズの種子を割ると白いものがでてきます。
それが杏仁。
ちなみに読み方は薬用にする場合「キョウニン」、お菓子で使用する場合は「アンニン」と呼ぶそうです。
え、必要かな? その呼び分け。
同じバラ科の中でも梅仁と杏仁はよく似ていて、ときどき混じって市場に出回るそうです。
……そんな間違いある?
杏仁豆腐は、生薬として用いていた杏仁の苦みを消すために甘くしたのが起源の薬膳料理です。
やがて甘味目的で作られるようになり、ついには仁の部分をすりつぶして砂糖や脱脂粉乳などを添加した白い粉が売られるようになりました。
それが杏仁豆腐を作る際に必須の「杏仁霜」です。
(薬用じゃないのにキョウニンやんけ!!)
これさえ入れておけば何でも杏仁豆腐風味になります。
種を取り出して乾かして砕いて――という江戸時代みたいな工程を踏む必要はなくなりました。便利!
いつしか杏仁と同じ風味を出すアーモンドエッセンスを使う製品も登場し、もはやそれは杏仁とは言わねえよ状態。
でも人々はそれを杏仁だと信じて食べているので幸せなのです。
ところで西日本ではフルーツポンチの中に杏仁豆腐を入れたものを「杏仁豆腐」と呼ぶらしいですね。
それはフルーツポンチだよ?
そもそもバラ科の種子って食べていいんだっけ問題
「アンズや桃、梅、ビワなどバラ科の種子は食べてはいけない」「リンゴは芯まで食べるな」みたいな話を聞いたことはないでしょうか。
あれはまあ正解で、バラ科の種子(の中にある仁)や未成熟の果実には、アミグダリンと呼ばれる物質が含まれています。
アミグダリンはざっくり言うと、体内で分解され最終的にシアン化水素とベンズアルデヒドになります。
シアン化水素は毒性のある物質で、多量に摂取すると腹痛やめまい、頭痛、意識障害など一般的な中毒症状を生じさせる物質です。
そして、シアン化水素とは別名「青酸ガス」。
青酸と聞いて、ピンときた人もいるでしょう。
そう。よく漫画とかで、
みたいなシーンが登場すると、だいたいアーモンド臭が~って言い出すコナン君がいますよね。
青酸カリ(正式名:青酸カリウム)はシアン化合物であり、アーモンド臭(つまりはバラ科の仁の匂い)がするのは当然なわけです。
ただ、アーモンドといっても収穫前のアーモンド。
収穫前のアーモンドの匂いがわかる日本人、いるか? って感じ。
これからは「杏仁豆腐の匂いがする」にした方がいいかもしれません。
急に青酸カリも食べたくなりました。
じゃあ、アンズや梅の種を食べたらアカンやんけ!
って話ですが、まあ多量に取ると危ないわけです。
ただ、種数個分なら問題ありません。
とはいえ種が大きい「ビワ」に関しては含有量が多いためか、農林水産省などが特に注意喚起しています。
やるなと言われると俄然食べたくなるのが人の性。
ちなみに、果実の成熟とともにアミグダリンは消失します。
青梅を漬けたりお酒にするのも、シアン化合物の中毒を起こさせないための知恵なわけです。太古、何人か死んだのでしょう。
※どうでもいいけど「シアン化カリウム」のページが大体コナンで笑う。
杏仁豆腐(桃仁豆腐)を作るために桃仁を採取
で。ようやく杏仁豆腐です。
3分クッキングならここまでで番組が終わってました。
つまるところ、アンズも桃も梅もアーモンドもその他も似たようなものだから全部豆腐にしようぜ! って話です。
桃を選んだのは一番大きかったからです。
半額桃あさりババアと化す
桃、高いですよね~。
1個300円とかするんですよ?
リンゴや梨、柿なんかと比べると圧倒的に高級感あるんで、きっと果物は側面の強度が増すほど安っぽく見られるってことなのでしょう。
人間も世間知らずの箱入り娘の方がか弱くて可憐に見えますもん。皮肉な話です。
見た目はリンゴだけど経済的強度は桃以下なので、せっせと朝の西友に通い、半額シールのついた桃を購入しました。
1度真っ青になったやつが入っており、ブチ切れそうになりました。
腐ってやがる、遅すぎたんだ……。
種3個から1gの桃仁
で、そんなことを続けるうち1週間。
3つの種が集まりました(いくつかは顔色が悪かったので捨てた)。
これを……
割っていく!
惨事!
そして皮を剥く!
水に浸しておくと剝きやすくなります。
で、乾燥!
そして潰す!
えー……。
以上の手順を経て、3個の桃の種から1gの仁が採取できました。
4個分の杏仁を作るにあたって「杏仁霜」が10g必要らしいのですが、全然足りません。
クソコスパ!!!!
ただ、杏仁霜は仁の他にいろいろ混ぜているので、仁自体は少ないのかもしれません。
先の毒性問題もあるので、たくさん入れればいいわけでもないでしょう。
杏仁豆腐(桃仁豆腐)の作り方
今回作った杏仁豆腐もとい桃仁豆腐の材料は以下の通り。
牛乳:300ml
砂糖:15g
杏仁(桃仁):1g
ゼラチン:5g
水:大さじ2(ゼラチン戻す用)
有名な雪印の「濃厚 とろける杏仁豆腐」を超えていきたいと思います!
ゼラチンを戻す
大さじ2の水で、ゼラチンを戻します。
初手から失敗の匂いを醸し出したので、水をプラス1しました。
ねえ、なんでレシピ通りにやったのにこうなるの?
牛乳と砂糖を鍋にかける
沸騰をさせないようにゆっくりまぜます。
ちなみに正規のレシピは砂糖が30gでしたが、正気の沙汰ではないと思ったので半量にしました。まったく問題ありません。
ふつふつしてきたら、杏仁(桃仁)とゼラチンを入れてよく混ぜます。
沸騰させるとゼラチンが固まりにくくなるようです。
器に入れて粗熱が取れたら冷やす
実は牛乳と杏仁(桃仁)を混ぜて火にかけたあたりから、杏仁の香りが漂ってきたのです!
たった1gで! 楽しみですね~。
これは下手に10gとか入れなくて良かったかもしれません。病院行きになるところでした。
桃仁豆腐、実食!
~~数時間後~~
完成。
見るからに堅そうなブツが出来上がりました。
恐らく300mlの牛乳を適当に入れたので、270mlくらいしかなかったのだと思います。
弾力性、トランポリンか?
50年後に作っていたら喉に詰まらせていた可能性もあります。
ぷるんぷるん天国を、いざ実食。
硬さは明らかに蒟蒻畑ですが、味は杏仁豆腐!
あの、どこか上品で甘く、後味はさっぱりとしていながら鼻に残る独特な風味。
円満に別れたけれどいつまでも心に残り続ける、Uターン就職で田舎へと帰った大学時代の彼女、みたいな味。
思わず迎えに行きたくなる(訳:2口目がほしい)。
これを作るのに3個の桃を使っていますからね。
実質1,000円の杏仁豆腐ですよ。本場レベルですよ、本場。
雪印「濃厚 とろける杏仁豆腐」と比べてどちらがおいしいですか?
雪印
まとめ~世は桃仁豆腐~
敗因はとろけていなかったことにあるので、次は牛乳の分量を増やして作ってみたいと思います。
とはいえ、味は本当に杏仁豆腐で驚きました。
バニラエッセンスなんかは1,2滴ですべてがバニラになりますが、まさにあんな感じ。
香料ってすばらしいですね。
本格杏仁豆腐が
食べたい!
けど、杏仁霜をわざわざ買うのは面倒……という方は桃ないしバラ科植物の種子で手作りしてみてはいかがでしょうか?
少量でも本格杏仁が味わえますよ。
でもやっぱり一番は?
雪印
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発想が面白いです
うなぎ釣りとかやってみては?
そらまめさん、ありがとうございます!
うなぎ釣り…天然うなぎのスポットを見つけるまでが難しそうですね
釣り堀でしか魚釣りなんてしたことありませんが、うなぎが自分で釣れたらいいですねえ…