どうもこんにちは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
早いものであれから1年が経ちますが、星景撮影をするため南伊豆に10日ほど滞在しました。↓
続きを書かないと南伊豆のネガキャンをした人みたいになってしまうので、
まったく後悔のない旅だったよ!旅の途中でレンズは粉砕したけどね
という意味を込めて、成果物をこの場で発表しようと思います。
撮影地は、星を撮る人もそうでない人も知っていそうな観光地です。
(最近じゃ知られていない撮影スポットをネットで詳らかにしない、みたいな暗黙のルールがありますからね。個人的にはどうでもいいけど面倒な問題に巻き込まれるのはご勘弁)
まあ、みんなが撮る場所というのは、撮られるに値する美しさがあるのには違いありません。
あとは安全だったり行きやすかったりする場所が多く、振り返ると満足度は高いんですよね。
変に通ぶらなくて、みんなが綺麗というものを綺麗と褒めてもいいじゃないですか。
食べログ高評価の店で「おいしいね」って食べてもいいじゃないですか。
インディーズバンドがメジャーデビューしたから何だって言うんですか?
そして経験上、素人がオリジナリティを求めてマイナーな場所に行くとロクな目にあいません。
前置きはこれくらいにして――つまりはよく見るような写真なわけですが、せっかくなのでまとめました。
スポットや設定等も紹介するので、星を撮りたい人や南伊豆に行きたい人は参考にしてみてください。
個別のスポット紹介もどこかでできたらと思います。
Contents
逢ヶ浜(おうのはま)
撮影日:2023年1月25-26日
弓ヶ浜海水浴場から徒歩10分ほどの浜辺で、シュノーケリング体験ができるようです。
南東側に奇岩が連なっていることから、星撮りの間では有名な場所。
びっくりなことに、左手側の山から猪が出てきて、猛スピードで向かって来たので必死になって逃げました。
あいつら海で泳げるんですね。鈴でも鳴らした方がいいかもしれません。
こちらは着いてその日に来た場所です。
明るいうちに来るはずが家を出るのが遅れ(手作りプリンにあたって腹を痛めていた)、ロケハンができませんでした。
冬の定番構図(だいぶ時刻が遅いけど)。
オリオン座と大三角、その間に流れる天の川。少々窮屈になってしまいましたがアルデバランまで入れています。
右側の岩が雀岩。左の小ぶりの岩が姑岩とのことです。
その間にあるのはカノープスのようで、南伊豆ではこんなにハッキリと見えるのですね。
おおいぬ座をメインに。タイトルは「犬駆け海岸」。
続いては横構図で奇岩全体を撮影してみました。
全天でもっとも明るいシリウス。その圧倒的な輝きがどれくらいのものか……水平線で光る灯台を入れることで、匹敵するほどの明るさだとわかります。
灯台はタライ岬のものでしょうか。よくわかりません。
やや右側に視線をずらし、オリオン座と冬の大三角。
遠目なので分かりにくいですが、「エビ穴」と呼ばれるハイヒールみたいな奇岩と腐食でできた穴がみどころです。
灯台の光は邪魔なようにも思えますが、海らしさが出ていてこれはこれでいいかな、と。
ベテルギウスがやたらと赤いのが気になります。
赤を目立たせようと色をいじった結果失敗したんでしょうね(覚えてないけど)。
冬の星座の撮影から約6時間後。
逃げるようにオリオン座が沈んだ空に、今度は蠍が昇ってきました。
一度宿に戻って仮眠をしてから再び来ています。こういうことができるのも短期滞在の良さですね。
上の写真よりも岩に近づいているため、エビ穴がわかりやすいはず。
干潮のときならもう少し前へ行けるのですが、いかんせん真っ暗なうえに初見だったので日和ました。
ここまで昇りはじめの天の川(というかさそり座)を撮影したことがなく、処理が正直わからないままです。
1月の終わりはまだ「夏の天の川」というより「さそり座」の時季でした。
ちなみに逢ヶ浜、駐車場はあるのですが夜間は密漁防止のため駐車禁止とのこと。
徒歩10分ほどの場所にある弓ヶ浜海水浴場に車を止めて歩いて来ましょう、と一応言っておきます。
竜宮窟
撮影日:2023年1月30日
下田市にある火山岩窟、竜宮窟。
上から見ると、天窓がハートの形に見えることで有名です。
下から見上げるのこんな感じ。
以前はもっと奥まで進めたようなのですが、現在は浸食が進んだためか立入が制限されてしまいました。そのため、撮影構図が限られてきます。
空の面積が極端に狭いので、オリオン座を砂時計の形で入れられるタイミングは数分間しかありません。
それなのにレンズを車に忘れたせいで、全力シャトルランをする羽目になりました。
下の穴から見える海まで入れるのがやはり綺麗かと思います。
月夜を狙い洞窟内が少し写るようにしましたが、それでも暗い場所ですね。前景は別撮りした方がよいのかもしれません。
何か出そうで怖かったです……。
駐車場は日中有料(500円)ですが、夜間は管理者がいないためそのまま停車してよいんじゃないでしょうか。
田牛海岸(とうじかいがん)
撮影日:2023年1月30日、2月1日
竜宮窟の横にある海岸です。
奇岩があるため撮影には向いていますが、あまり撮影している人を見かけないのは白骨死体が出たせいだからでしょうか。
個人的には竜宮窟の方がオソロシイのですが。
近くの階段に寝そべりながら、波の音と星の調べに耳と目を預ける夜。寝かけました。
上の写真はまだ薄明が終わらない夕方に撮ったせいか、やたらと明るい写真になってしまいました。
月もあるので海の青がはっきりしていますね。
右上にモアイの顔のような模様があり、流れていてもオリオン座であることがわかります。ベテルギウスは線になってもオレンジ。
夜っぽくはないですが気に入っている1枚です。
こちらも同じく長秒露光。
石の形がダイナミックだったので面白くなるかな、と思いきや大して面白くならなかった1枚です。残念。
というか、設定を間違えたせいで明るすぎました。
1時間近くもカメラを回したわりには、月夜のせいで全然星が写らなかったやつ。
斜度30度の砂山なのでもっとそそり立つ山のように写るかと思いきや、全然それっぽく見えないですね。
二つの岩の間にかかる天の川よくね?と思って撮ったもののイマイチだったから撮影を中断したが、家で見てみたら思ったよりよかったやつ。
残念ながら試し撮りの1枚しかないので完全に失敗作。
右側の岩を望遠でクローズアップして、逆Cの字の間に星を入れる――とかできたら面白そうですね。できるかわからんけど。
この旅の目的でもあった、朝焼けと天の川が撮れました。
横構図で撮るなら、さそり座をできるかぎり尻尾まで入れたいタイプです。
サソリが立つまで星が見られるようになって、春の訪れを感じますね。
ちなみにこちらの写真、星ナビ5月号に掲載していただけました。
白浜神社(大明神岩の赤鳥居)
撮影日:2023年1月28日、30日
下田市にある神社の鳥居です。
みんな大好き、岩の上の鳥居。
茨城の神磯鳥居しかり福島の弁天島しかり、神秘的ですもんね。まあ、これもあと100か所くらいで見られるようになったら急にただの鳥居になりそうですけど。
周辺に宿泊施設が多いため、光が反射して岩が変に明るくなる点は要注意です。
月夜の夕方に撮影しました。
だいぶ月が大きくなっていたので、星の数は少なめ。かわりに海の透き通る感じが出せました。
もう少し早い時期(12月とか?)であれば、鳥居の中にシリウスを入れられたんじゃないかなと思います。
10分ほど長秒露光。
近くにあった大岩と大三角を合わせてみました。
これ以上後ろに下がれないため、岩が若干ピンボケしてます。
別の日の朝方にも来ました。
鳥居をバックに、昇ってくる天の川……。
馬鹿みたいな話なのですが、徐々に近づいてくる波に巻き込まれかけ、途中で三脚を持って逃げたので追尾撮影に失敗しました。
長野県民、海に対する危機意識が低め。
▶潮位表からだいたいどの辺まで波が来るのか予想しなくてはいけないようです
天の川を大きく切り取ってみたく、無理やり「FE 24-70mm F2.8 GM 」で撮影しました。
星向きのレンズではないので、描写はイマイチですが、へ~ダイナミックだねって感じ(語彙力の消失)。
サソリの全体像を入れると鳥居が入らなかったので、どこだかよくわからん写真になってしまいました。
ここで撮る必要あったのかな。
鳥居を真正面から撮影しました。厳粛な人から怒られそうです。
標準域で撮ると、空全体が天の川に覆われて幻想的ですね。
岩の一部だけが光害で緑色になる現象が起き、地上のレタッチに悩まされました。
バックの海、どうなってんだよ。闇じゃんか。
日の出直前です。
星が朝の空に溶け、夜との境が曖昧になる時間。地球上でもっとも美しい色が見られます。
ぼんやりしているのはソフトフィルターをつけたままだからですね。
駐車場は裏手に白浜神社の駐車場がありますが、例によって例のごとく「参拝者専用」と書かれています。
鳥居に向かってパンパンしておけば参拝したことになるんじゃないでしょうか(適当)。
こういうところ変に小心者なのでお参りもしました。
爪木崎灯台
撮影日:2023年1月28日~29日
下田にある灯台で、1月の終わりに水仙まつりが開催される場所です。
広々としているし暖かいしで、ここでは幸せな星撮りができました。
とはいえ強風が吹くことでも有名なのです。
「月夜に行って短時間露光でブレないように水仙を撮ろう」とか思ったのですが、最早それどころの騒ぎじゃありませんでした。
水仙は黄色い何か、くらいの認識しかできなくなるほど突風にあおられました。
冬のダイヤモンドと水仙の花。
どういう処理をしたのか、空がすげえ汚いです。
右側の色がおかしいのは、沈みかけている月明かりがすさまじく、フラットにできなかったためです。力不足を感じます。
もう1日早く撮影をしていればよかったのですが……。
冬の大三角と水仙。
多分、シャッタースピードを1秒ほどにしないと花を止めて撮れないんじゃないでしょうか。
この日の予報、たしか風速5mくらいでした。無理だって。星空撮影なんてしちゃダメよ。
アロエの花にテンションが上がって撮影しました。
星をぼかす、という手法を使ったのは初めてかもしれません。
いったいどのアロエを見せたかったのか不明な写真。
星の色も生気を引き抜かれたようになってしまい全体的に残念。修行してきます。
冬の星座や天の川が注目されがちですが、北斗七星というのもまた美しいですね。
私は北斗七星からアークトゥルスへの曲線が好きです。できればスピカまで流したいのですが、ちょっと時間的に無理でした。
わかりにくいのですが、前景も手前から奥に向かって、ぐねぐねと道と入江が曲線を描いてます。
いわば地上と空の曲線美ですね。
光害はあまり嫌な色ではなかったのでそのままにしました。
恋人の聖地💕💕💕💕らしいです。
こんな感じで愛を誓うのだと思います💕💕💕💕
有名な灯台です。
歩道がやや右側なのは、先客がおりセンターポジションを撮れなかったからです。
一番乗りに駐車場についたくせにうっかり居眠りしてしまいました。
まあ、このポジションでもいいんじゃないでしょうか。
そして時期が少し早く天の川が昇りきる前に夜明けが来てしまうので、やや中途半端です。
あと無理に前景と空を分けたせいで、ちょっと非現実感が強い写真に仕上りました。
追尾してるのに何で1枚しか使ってないの?といえば、風景漏れの隠し方がわからなかったからです。
え、マジでこれどうやるの…?
流星?らしきものと。
世紀末って色合いです。湿気が高いせいか、海沿いは処理が難しい気がします。
20分ほど露光しました。
思ったより澄んだ感じがしないのはISOが高かったせいでしょうか。それとも海沿いで大気がよくなかったせいでしょうか。
灯台は難しいですね。上の明かりもバシっと止まるのが理想ですが、短時間では暗くなってしまいますし……。明るいレンズが必須でしょうか。
こちらも修行が必要そうです。
夜明け前。雲が出はじめてしまったけど、かえって空の明るい部分を隠してくれたので白とびせず済みました。
この明るさなのになぜISO6400にしたかはよくわかりません。
何も考えていなかったのだと思いますが。
星々が少しずつ消えはじめるなか、最後まで残るアンタレスの赤が好きです。
この時間になると、私の目ん玉もだいたい同じ色に染まっています。
駐車場は管理事務所のところにあるものは有料ですが、徒歩5分~10分ほど離れた公園のものは無料です。
夜間はいずれも無料になるので近い方に止めればよいでしょう。駐車場から灯台までは徒歩5分ほど坂や階段を上るため、脚が悪い人などはつらいかもしれません。
今回行けなかった場所
候補ではあったけど、結局撮影できなかった場所たちです。
今後行くかもしれません。
あいあい岬(ユウスゲ公園)
西伊豆に近い場所で、こちらも恋人の聖地だとか。
恋人の聖地あり過ぎだよ……。
この場所にある鐘のモニュメントと、西へ沈む星座が撮影できそうです。
しかし昼間にロケハンをした際、顔のパーツが飛ぶのではないかという突風が吹いており、三脚どころか私が吹っ飛ばされそうだったので断念しました。
あれは台風。南伊豆、平時で台風並みの風が吹いてる、やばい。
ナッシーみたいな木も骨折防止か紐でぐるぐる巻きにされてたもん。
でもいつか撮ってみたいですね。頑丈な三脚がないと本当に撮影はできないかもしれません。
石廊崎
南伊豆の先端、石廊崎(いろうざき)。
神社が南東方向にあるため、昇ってくる天の川と綺麗に合いそうです。
ただ、ジオパークの駐車場は夜間完全に締まっているらしく、そして駐車場以外の場所への駐車もできないらしく、徒歩で昇ってくる以外の手段がありません。
どうせ人もいないのだからパークに横づけしてもいいじゃない、とは思うのですが……。
訊いてみたところ、クルーズ近くの駐車場から上ってくるのはお好きにどうぞ、とのことでした。
Googleマップによると片道徒歩20分のようです。昼間ならいいのですけどね。
今回はガッツが足りず、田牛海岸の方へ赴きました。でもいつか行きたい……。
蓑掛岩展望地
こちらは南側に奇岩が連なる景勝地ですが、現在は侵入できないようです。
(厳密には立入禁止ではないのですが、地元の人の目が相当厳しく、因縁に近い注意を受けかねないとの噂を聞きました)
侵入や撮影がいけない、というより密漁防止のため立ち入りを制限しているのだとか。
闇が深いですね。
せっかく遠出までして下手なトラブルを起こして不愉快な思いをしたくないので諦めました。
でも、現在でも撮影している人を見かけます。すごく良いロケーションなのでいつかは撮りたい場所です。
使用した現像・レタッチソフトなど
- Adobe LightRoom
- Adobe Photoshop2023
- Sequator
- DxO PureRAW
使用したカメラ機材など
何だかんだ高感度耐性が優秀な相棒。改造しようと思って2年が経った。
チルトモニターとブライトモニタリングが便利過ぎる。
高画素機だからノイズが多いような気がするけれど、加算平均合成すれば問題ないと思う。
SIGMAさんが星撮りレンズとして押しているやつ。
軽さにビビる。そして使いやすい。
GM24mmよりコマ収差とかフリンジないのでは? と思い比較してみたいところ。
ちなみにレンタル品だったので今は手元にない。
困ったことに純正もサードパーティー製メーカーも「EFレンズ? ああ、いましたね、そんな子も」状態なので、これ以上に良いEFレンズが今後出ない気がする。
何だかんだズームレンズは初見の場所では大活躍。
キレる、明るい、素晴らしい。
でも最近Eマウントミラーレス用の14mmを購入したのでそろそろお嫁に行く(売却)時期かも。
風景用。
星撮りに使えなくはないけれど、あまり綺麗な描写ではない。
旅の最中、不慮の事故にて粉砕した(SONYさんに直してもらった)。
まとめ~伊豆はいいぞ~
そんなわけで南伊豆の星空でした。
冬でも暖かいので快適で、南東方面に開けているため厳冬期~晩冬にかけて昇ってくる天の川を撮影するには最適な場所なのではないかと思います。
また伊豆半島はジオパーク認定のされた場所で、変わった地形や火山が作り出した海岸など特徴的な風景が特徴です。
ただ海辺で撮影しただけでない写真になるのが魅力ですね。
できたら来年以降もリベンジしたいです。
そして西伊豆もなかなかに良い場所がありそうなので開拓のしがいがあります。
今回は「あわよくば河津桜も……」と思っていたのですが、2月初旬~中旬のピークまではさすがに滞在できませんでした。
少し時期を遅くした2月中が伊豆撮影のベストタイミングかもしれません。
以上、南伊豆の星景写真でした。
\最新情報はTwitterにて/