どうもこんにちは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
最近うちのシマ(町内)で活発にシノギをしていた、ヨウシュヤマゴボウ組をとっ捕まえました。
※訳:町内で増え続けているヨウシュヤマゴボウを採取しました。
近隣の鳥畜生が食べてゲロったり、うんこをまき散らしたりで、年々増えている模様。
空き地では必ず見かけます。山ぶどうに似た鈴なりの実はジュエリーチックな美しさもあり、
ブルーベリーみたい、美味しそう!
と思って食べるキッズもいるはず。
なので食してみた――といきたいところですが、まだ鍛錬と準備が足りません。
力不足を痛感しつつ、今回はヨウシュヤマゴボウでインクを作ってみました。
別名は「インクベリー」。
万年筆に詰め込んだところ筆記に成功したので、令和のインク不足が起きた際には活用してみてください!
ヨウシュヤマゴボウとは?
ヨウシュヤマゴボウ、別名はアメリカヤマゴボウ。
その名の通り北アメリカからの帰国子女(帰化植物)です。
梅雨のころ、やたらに太く赤味を帯びた茎で地に足をつけている植物を見かけたら、だいたいこいつです。
根はしっかりと張ります。見習いたいですね。
夏から秋にかけて開花、ぶどうの房に似た那須紺色の実をつけます。
この実が潰れて赤紫の果汁がついてしまうと、なかなか取れない。
ゆえに海外ではインクベリー、ポークウィードとも呼ばれ、染料や簡易インクとして用いられているようです。
豚肉の草とか意味わかんねえな、と思ったらporkではなくpoke。
アメリカ原住民の間ではパクーン(Puccoon)なる植物が染料として使われていたことがあり、それにちなんだ名前なのだとか。
ヨウシュヤマゴボウは根、葉、茎、実、種、すべてに毒があります。
一番食用っぽい見た目をしている根が、実はもっとも強い毒性あり。主な有毒成分はアルカロイド系、サポニン系。
摂取すると嘔吐下痢、興奮、精神錯乱、中枢神経の麻痺や痙攣うんぬんかんぬんと、有毒植物にありがちな諸症状がでるようです。
死は身近に潜んでいますね~。
余談、ヤマゴボウと山牛蒡(山ごぼう)は別物である
このヨウシュヤマゴボウ、山ごぼうと誤植して病院行きになる人が多いのだとか。
ちなみに食用山ごぼうはこちら。
漬物等で目にする「山ごぼう」は、キク科であるアザミの根です。
関係ないけど、井上陽水「少年時代」の「夏が過ぎ風あざみ~」って歌詞、夏も過ぎてアザミが風に揺れているね的な風流かと思ったら造語だったらしい。
っていうのを昔知って衝撃を受けた。
オニアザミがあるから風アザミもあるのかなって笑
事実を調べるのは野暮。楽けりゃいい
人生これくらい雑でええんやなって思わせてくれるエピソード。
それはさておき、こんなトゲトゲとブドウまがいなものを見間違う……そうはならんやろ?
山田花子と橋本環奈間違えるレベルだぞ。どっちがどっちかはわからんけど。
と、いいたいところですが、ややこしいことにキク科の「山ごぼう」とは違うヤマゴボウ科の「ヤマゴボウ」が存在します。
それがこちら。
同じじゃないですか……。
ヨウシュヤマゴボウがアメリカ原産であるのに対し、ヤマゴボウは中国原産。
高さは共に約1メートルで葉のつき方も似ていますが、ヨウシュヤマゴボウは茎が赤っぽいのが特徴です。
また、5枚の白いガクヘンも同じなものの、実の形が違います。
丸い実をつけるヨウシュヤマゴボウ(左)と、8溝に分離するヤマゴボウ(右)。
いずれにせよどちらも有毒です。
つまり「ヨウシュヤマゴボウは毒だけど、ヤマゴボウは食べられる」とだけ覚えておくと、うっかりヤマゴボウを食べかねません。
そもそもキク科の根っこにヤマゴボウなんて名前を付けたのが間違いで、キクゴボウとかアザミゴボウにしておけって感じなのですが、よく考えたらゴボウ自体がキク科なんですよね。
じゃあ「ヤマゴボウ科」なんて紛らわしい名前つけんなや
みたいな感じの命名が魚や植物界にはたくさんあります。
余談の余談ですが、ヨウシュヤマゴボウの「ヨウシュ」は洋種であり、洋酒とは無関係。
ただ、安価なワインに色づけで入れられていた時期もあるらしく洋酒でもよくね? と思ったり。
毒を入れるな、狂気の沙汰だよ。さすがアメリカ。
ヨウシュヤマゴボウインクの作り方
脱線し過ぎて何の話か忘れました。気を取り直してインクを作ります。
作り方もなにも、潰してろ過してください。それだけです。
まあ、具体的にまとめると以下の手順。
①採取、実を外す
なんと。白く華恋だったガクヘンは、実が色づくのと共に赤くなる様子。
同級会で再会したらケバくなっていた学園のアイドルみたい。
②実を潰す
こちらを潰していきます。
ブルーベリージャムみたいで美味しそう。
気にくわない人を騙して食べさせてもヨシ!
ここに筆を突っ込んでもいいのだけど、インクっぽくするために種を除きます。
こんな感じ。
ラズベリーレッドでしょうか。
小学生のころ、歯磨きができているか確認するために歯を赤く染める薬がありませんでした?
歯垢染色剤(カラーテスター)っていうらしいんですけど。
歯垢がある部分が赤く染まる、ゲロ吐きそうになるくらい不味い薬。
あれを彷彿とさせる色をしています。
③汁をろ過する
このままでは繊維質が残っているため、コーヒーフィルターでろ過しました。
染み過ぎ太郎。
てなわけで完成。簡単でしょう?
実際に書いてみた
これが実際どのように書けるか確かめるため、わざわざ万年筆とコンバーターを買ってきました。
「万年筆が欲しい欲しい」とかれこれ3年ほど言い続けている私、いまだkakunoなる安万年筆を愛用中。
私にはこれがお似合いです。
さて、コンバーターでチューチュー吸い上げてインクを補填。よさげ。
いざ書いてみます。
おお、色自体は悪くないんじゃないですか?
果実の妖艶な色からもっと重みのある赤を期待していたのですが意外と水分が多いようで……。でもこれはこれで。
少し薄いのは否めませんが、もしかしたら煮つめたら濃くなるのでしょうか。
良き良き……と思ったのもつかの間、
粘度が低すぎるのか、漏れいづるインク。これが後々、悲劇を招くことになろうとは。
ペン先から常にインクが漏れるせいで、キャップをした際に蓋へ溜まります。
次に開けたときインクが飛び出す、手につくなど、とてもじゃないですが実用性がありません。
速攻でクビになりました。
万年筆は洗って別のインクでも補填します。
なお、天然物だけあって数日経ったらペンの中のインクが見るに耐えない劣化をしました。
おばあちゃんが履いてるモンペみたいな色になってしまったよ……。
さらに数日放置したら蒸発して消えた。
インクそのものもカビ(?)が生えて汚泥の様相。
当たり前ですが保存剤的なものが入っていないので、長期使用には向かないようです。
万年筆に詰めるのもイマイチで、昔ながらの筆ペン(鳥の羽根を削ったあれ)が適しているのかもしれませんね。
あと、使用したくないと最終的に判断した理由の1番は……。
くせえ!
まとめ
こうしてまた、あまぼし’sルームに汚物が増えてしまいました。
短い間だけど楽しかったよ、ヨウシュヤマゴボウインク。グッバイ。
有毒のヨウシュヤマゴボウではありますが、若葉はよく茹でると食用になり、アメリカでは食べていた歴史があるそうです。
一応、実も根も頑張れば……という毒ではありますが、すべては自己責任。いつかは試してみたい食材(?)ですね。
↓本書にヨウシュヤマゴボウは出てこないが面白い。
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