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【はねバド!名シーンランキング】熱すぎるインターハイ準々決勝! -後編-

濱田浩輔の女子高生バドミントン漫画「はねバド!」が、10月7日発売の『goodアフタヌーン』11月号をもって最終回を迎える。
(※ 2019年11月、最終巻16巻にて終了)

長年追いかけていた作品だけに、楽しみな反面やはり終わってしまうことは寂しい。

はねバド!に関しては一度好きなシーンを語ってみたいと思っていたので、最終回を前に滑り込むようにこの記事を書いた。

前回(最終回前に漫画『はねバド!』の名シーンを語っておきたい-前編-)からの続きになるので、まだ読んでいない方は先にそちらから読んでもらった方がいいかもしれない。

はねバド!名シーン
漫画『はねバド!』の名シーンを語っておきたい-前編-あと数日で、最強のバドミントン漫画「はねバド!」が完結する。 (2019年10月5日現在) 好きだった漫画の完結には、いつも期待...

それでは私的『はねバド!名(試合)シーンベスト5』の1位~3位を発表していこう!

はねバド! 名シーンベスト5(1位~3位)

3位 北小町VS横浜翔栄戦(県大会 団体戦準々決勝)

8巻36話~9巻42話。


前年度優勝校「横浜翔栄高校」との3回戦。(準々決勝)
この試合はシングルスゲームが中心となっていた本作で、唯一まともに描写された貴重な団体戦の試合である。

○北小町高校 3-2 ●横浜翔栄高校

メインは【綾乃&理子】VS【橋詰&重盛】のD1(ダブルス1)と、綾乃VS重盛のS2(シングルス2)、理子VS橋詰のS3の3試合から構成されていて、「なぎさが欠場する中どう戦い抜くか?」というギリギリの展開にハラハラさせられた。

バドミントンはオーダーも勝負のうちと言われるが、まさにそれが顕著に描かれていたのがこの回。

正直なところ、団体戦は負けるかもしれないと予想していただけに、理子戦は危ないのではないかと思った。
(実際に準決勝ではあっさりと敗北していたし。あれこそオーダーミスだろ……)

しかし蓋を開けてみれば、団体戦での理子の活躍はすさまじいものだった。

一方で「対戦相手にリスペクトを持てない」という悩みを綾乃が吐露するシーンもあり、個人戦に続き綾乃の精神的成長の過程も見ることができる。

この顔はもはや完全に悪役である。


(出典:はねバド! 8巻)

綾乃VS重盛戦(シングルス1)

事実だけ見ると捨て駒扱いを受け、綾乃とかいうヤベーやつにフルボッコされてしまった可哀想な子。

○綾乃-●重盛
21-12
21-9

だが私は重盛瑞貴という女が好きだ。めちゃくちゃ好きだ。

はねバド!は「嫌なヤツ」が登場せず魅力的なキャラばかりなのだが、中でも重盛は登場回数こそ少ないものの3本の指に入るお気に入り。
作中屈指の天使キャラと断言しても問題ないだろう。

『40th C特待』の回は読んでいて切なく、しかし勇気付けられる回だった。
努力で天才に勝てない凡才というキャラクターが好きな私としては、どストライクなキャラだ。

県内強豪の横浜翔栄高校に、C特待生として入学して来た重盛。

翔栄の特待制度にはランクがあり、A特は全額、Bが5割、そしてCが2割5分の学費免除が受けられる。
当然選手としての期待度や、成績もAから順に下がっていくことになる。

重盛はそのC特待生として、あまり期待されずに入部した。
実際に2年間伸び悩むことになり、伸び率も同学年と比べ低かったようだ。

人一倍練習に励むわりに、周りより伸びない。普通は腐ってしまうものだが、さらに練習を重ねる重盛の懸命な姿に心打たれる。

体育館で一人、自主練をする重盛の姿が橋詰目線で描かれていた。
重盛は本当に、誰よりも練習に打ち込んだのだと思う。

彼女は明るく元気なギャグ要員的立ち位置で登場したが、試合においては大局観のある冷静な子だった。
高校生の時点で「自分のできないこと・できること」を判断し、できることに徹底する姿勢を持てるというのは、かなり賢い子だ。


(出典:はねバド! 8巻)

この考えは成功するために必須なものかもしれない。

結果的に努力とその賢さで、重盛は強豪校のレギュラーを手に入れたということになる。

しかもダブルスとシングルス両方を受け持っていることから、部内第2位の実力クラスまで上り詰めたことになる。
これには木叢監督でなくても本当に頑張ったな、と言ってしまう。

一番感動的なのは、木叢監督がクリップボードを重盛へ見せながら「勝つぞ」と声をかけるシーン。
戦術的には橋詰を勝たせるために負け戦をやらされているみたいなものだが、この一言に監督の信じる心が現れている。

(この作品は監督陣もいい奴らが揃っていたりする。逗子総合のタラコとか)



(出典:はねバド! 8巻)

結局重盛は大差で負けてしまうが、彼女を見つめる監督の膝の上にはCを消してAと書かれたボードが置かれていた。

ここ、めっっっちゃ好きなとこ。涙が出そうになった。

自らを悟りながらも諦めない重盛は、スポーツモノに1人は欲しい存在として活躍してくれた。

彼女のような人間はいつか絶対報われる。もう報われていたのかもしれないが、もっと大きな成功を手にできるはずだ。

理子VS橋詰戦(シングルス2)

橋詰英美は、作中でもっとも人間らしい姿を見せてくれるキャラだった。
ここまで人間くささを丸出しにするのかぁ……と驚いたほど。

重盛とは対極にA特待で入学をした実力者だが、イマイチ本気で取り組めない。
練習もついつい手を抜いてしまう。
それでも周りからの評価はずば抜けていて、部内でもエースを務めていた。

やがて同格だと思っている選手に負けても、「本気になれないだけ。本気になれば、自分は県内トップクラスの人間だ」という自己欺瞞を抱いていくことになる。

自信のなさを傲慢さで隠し偽り続けて彼女が、最後の最後で本気を出して戦った。

そして自分より格下であったはずの理子に負けてしまうというのは、皮肉な話だ。

試合が始まっても、橋詰は理子を格下だと見下していた。
でもその考えこそがどうかしていたのだと、最後に気付いたことで橋詰はやっと前に進めたように思う。
もっと早く気付けていれば、本気で努力を重ねていたら、彼女は間違いなくなぎさや石澤と並ぶ実力者になれていたにちがいない。

橋詰ばかりを語ってしまったが、プレッシャーの中、最後まで冷静に各上相手と戦った理子も評価したい。

彼女に関しては、いい加減本誌のキャラ紹介にある「実力はまだまだ」の一文をとってあげたらどうだ。
(そもそも県ベスト8も普通にすごい)

 

横浜翔栄の2人を対比させたシーンが、印象的だった。

部活練習のアップ中。ビリではあるものの最後まで駆け抜けた重盛と、トップであったけれどゴールラインの直前で足を止めていた橋詰。


(出典:はねバド! 8巻)

この時点で橋詰は、全力を出していない自分を自覚したのだろう。

能力は劣るが努力を続けた重盛と、自らの能力に胡坐をかき続けた橋詰。
少し異なるが、うさぎとカメのような話。

とはいえ、「本気になりたいけどなれない」というのは本人にとっても苦しいはずだ。ある種病気みたいなものだと言ってもいい。

そんな橋詰のことを、重盛は知っていたというのが途中で明らかになる。

しかし遠慮だったのか、実力が下だったから気が引けたのか、重盛は気付きながら指摘ができなかった。

すべてが終わったあとで、重盛が橋詰にかける言葉が彼女にとって救いであり、2人にとっての一歩になる。

頑張った事に変わりないじゃん
納得いかない日があっても…頑張った日だってちゃんとあった
見てたからわかるよ…

明日からはウチらはホントの友達
今度こそ何でも言い合えるホントの…

見ていたから、手を抜いていたことも、頑張っていたことも知っている。

2年間チームメイトだった2人は、チームメイトでなくなった日から初めて本当の友達になるのだ。

横浜翔栄は、部活モノ×友情でかなりいい魅力を出してくれた学校だった。

2位 コニーVSなぎさ戦(インターハイ準々決勝)

12巻58話~13巻63話

インターハイ準々決勝、ベスト4を賭けた接戦。
本物の肉弾戦をみているかのような伯仲した試合だった。

○コニー-●なぎさ
24-22
18-21
25-24 棄権

世界のコニー・クリステンセンに対しどれだけ迫ったんだ、なぎさは。

2人とも170半ばの長身選手であるため、やはり迫力が違う。


スマッシュなんて、ガットかシャトルか床かなにかが壊れそうな勢いだ。


(出典:はねバド! 14巻)

難しい戦術や繊細な心理描写というよりかは、彼女らの試合は全力のぶつかり合い
全力でぶつかり、ひたすらゲームを楽しむ。
なぎさがどちらかと言えば少年漫画的な準主人公であるため、彼女の試合は否応なく少年漫画的な熱い展開が繰り広げられる。

あまりにも拮抗しすぎて、コニーが勝つと予想していたものの「え? これもしかしてなぎさ勝つパターン?」と、途中混乱してしまうほどだった。

綾乃と同じで、コニーもなぎさにより全力を引き出される。
息ができない限界突破の試合。
延長線となった試合はなぎさの膝に相当なダメージを負わせ、泣く泣く棄権となった。

なぎさは胸はでかいしウエイトもありそうだし、胸はでかいし、競技をやっていくのは大変そうだ。……うん。

それはさておき。
2人の試合は互いが初心を思い出すような、好きという気持ちと楽しさが根源にあることを噛みしめる試合だった。

正直、コニーは決勝の綾乃との試合よりなぎさとの試合の方が必死だったのではないだろうか。

絶望的展開→さらなる成長で打開
これが繰り返されるコニーなぎさ戦は本当に手に汗を握る。

7-0から折れることなく巻き上げていくなぎさのメンタルに、感服した。
彼女ほど心身ともに強くなった、と思えるキャラはいない。
綾乃に負けてスランプに陥っていたころが嘘のような成長っぷりだ。

しかもなぎさは、コニーとの戦いのなかでも急速に成長を続けた。

見応えあるシーンは、なぎさがありえない打点のジャンピングスマッシュを放つシーン。
フォルトになるものの、会場は熱狂する。



(出典:はねバド! 14巻)

中学時代推薦を反故にされた彼女だけに、周りに認められていく様子には目頭が熱くなった。
理子目線でみたりすると特に。

なぎさが棄権をしたことで、勝敗自体はうやむやになった点もいい終わり方をとっている。

あと試合中にちゃっかり立花コーチへ告白をしたりして、唯一の恋愛要素も披露してみせる。
まったく、侮れない女だ。

1位 綾乃VS益子戦(インターハイ準々決勝)

11巻52話~12巻57話

インターハイ準々決勝。

三強のひとりにして、事実上同世代のトップに君臨し続けた最強キャラ・益子泪との戦い。

○綾乃-●益子
17-21
23-21
24-24(以降が描かれていないため詳細は不明。綾乃の勝利)

留学生でありプロ選手であるコニーを除くと、優勝候補の筆頭であった益子。

現実でいうところの山口選手や奥原選手のような、学生時代から抜きんでた選手だろう。

身長172センチの長リーチ。
顔は整い、幼少期から頭角を現す天才肌。どこか影がある雰囲気。ちなみに綾乃以外唯一のサウスポー。

間違いなくこれは人気が出る。

最初はかなり不気味で、性格に難のありそうなキャラとして登場する。
「本気でやれば負けても楽しい」と感じ始めていた綾乃の考えは、「勝つから楽しい」と主張する益子には理解されない。

ゲームメイクはずば抜けているが益子はどこか本気ではなく、そんな彼女に自分と同じニオイを感じた綾乃は、彼女の全力を引き出そうとするもののから回る。
どいつもこいつも試合中に私語多すぎ問題。


(出典:はねバド! 12巻)

なぎさが綾乃にやったようにではなく、自分らしい方法で相手と向き合いはじめた瞬間から”天才”同士の戦いが始まる。

綾乃と益子戦では、益子の内面や過去に多くの尺を割いている。歪んだ天才、という印象がつけられるに至った経緯を知った時、本当に益子が好きになった。

ちなみに私がはねバド!で一番好きなキャラは益子である。

小学生までは活発で爛漫だった益子を、モブのデブ記者が回想するという面白い構成になっている。
(このデブ、急に出てきたが実はかなり序盤の方からいた。)

益子の過去が収録された『54th 益子推』は、別作品になりそうなレベルで重い話がぶち込まれている。

バドミントン指導者の父母。将来を期待される実力者の兄・推。そして一人だけ血がつながらない益子。
(正確には父親が実父で、推は腹違いの兄)

上の子が血が繋がっていないなら再婚、連れ子など色々あるが、下の子がそれというのは闇が深すぎる。

ここは作者いわくあえて詳細は描いてないが(まあさすがに)、恐らく日和った父親やヒステリックな母から察するに、益子は父親の不倫相手の子を引き取ったのではないだろうか。

上記の理由からか、益子は母親に愛されていない。
一方で兄は、バドミントンの名門「栄枝高校」に入れようと両親から愛情を注がれているようだ。

この時点でグレてもおかしくはない。

推とは仲良くやっていたようだが、推薦先の監督の前で推を負かせたことで、推薦をダメにしてしまう。
この出来事で、推との間にも溝ができる(ただ、推が恨んでいるような描写はなかったので、益子がそう思っているだけだろう)

彼女の妙に危なっかしい精神状態や、一人称が「私」だったり「俺」だったり二重人格のようになるところは、そのような過去に起因しているみたいだ。

こういった傷や抱えたものをすべてぶっ壊す勢いで、後半の益子は綾乃に全力を引き出されていく。
回転の大きいクロスファイヤのシーンはなかなかに盛り上がる。


(出典:はねバド! 11巻)

そういえば。
左利きが打つカットスマッシュのことだけを特別に「クロスファイア」という名称で呼ぶのだが……。(カッコよ過ぎる。原理は右利きのリバースカットと一緒)

「バドミントンのシャトルは…こんな風に左巻きに羽根が付けられていますわ。
だから…同じカットスマッシュでも左利きと右利きじゃ加わる回転の向きが変わってくる…」
ゆえに左利きのプレイヤーが打つカットスマッシュはシャトルに強いシュート回転が加わる為、レシーバーから見ると自分から逃げて行くような軌道で変化していく…

この話をバド歴10年ほどの同僚(元)に訊いてみたら、「なに言っとるんやコイツ……?」みたいな顔をされたので、よほどの上級者でないと気にしていなさそう。

あと左利きの人にカットスマッシュ打ってもらったが、普通に真っすぐ飛んでいた。あたりまえだけど。
こんな回転かかるって、どんな技術だ。

話は戻るが、世代を背負ってきた彼女が本気を出し負ける。
益子の敗退は一つの時代の終焉として、1日の終わりと掛けられて深く印象付いた。


(出典:はねバド! 12巻)

勝ちにこだわり続けていた益子は、ただ競技を続ける意味を探していたのだと気付く。
三強で、天才で、常に特別扱いをされていた益子。
しかし本当は「泪が一番だよ」と(恐らく両親、義母に)言ってもらいたいだけの、普通の高校生だったのだ。

他の試合よりも内面の描写が多く、個人的に好きな設定であるため1位にした。

まとめ

はねバド!の魅力は綾乃の対戦相手が個性的で、綾乃よりも感情移入をしてしまうというところだ。
魅力的な対戦キャラが、この作品を支えたといっても過言ではないだろう。

本作でもっとも主軸となるはずの綾乃VSコニー戦(決勝戦)を入れることができなかったのが残念。

期待していた以上にあっさり終わってしまい、ちょっと拍子抜けしてしまったのである。

しかし1回のインターハイと、それに向けての日々を丁寧に描いた作品だったと思う。

綾乃は1年だから続けようと思えば2年生篇を続けられるし、スポーツ漫画にはプロ篇を描くものも多い。

あえてそれはせず16巻で終わらせたのは、綺麗な終わり方とも言える。

明日で最終回を迎えてしまうけれど、間違いなくはねバド!はスポーツ漫画の名作になった。

(ジャンプを震撼させたパコさんを生み出した作者が、まさかスポ根ものを描くと誰が思っただろうか)

できたら次もスポーツものを、と期待するばかり。
とはいえ、今ははねバド!の最終回をしっかり見守りたい。

最終話の感想(ネタバレあり)

はねバド!最終回感想
【はねバド!最終回感想】綾乃たちの未来を語る(ネタバレあり)goodアフタヌーンで連載していたsバドミントン漫画「はねバド!」が、2019年11月に最終巻16巻をもって堂々の完結を迎えた。発売日から少々時間が経ってしまったが、感想を交えながらそれぞれが選択した彼女たちの未来について書いていきたい。...

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