車窓はいいぞ~
というわけで、どうもこんにちは。あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
JR紀勢本線の車窓紹介、今回は亀山駅~新宮駅間の東海篇です。
三重県亀山駅から和歌山県和歌山市駅を走るJR紀勢本線は、険しい山の中を走りながらも海岸に接しているため、山に海にと飽きない車窓を楽しめます。
なかでも眼前に広がる太平洋は別格です。
前回は紀勢本線の和歌山側(JR西)・通称「きのくに線」で海が見える車窓区間を紹介しました。
今回は新宮以北の三重県側、JR東海区間で海が見える車窓をまとめます。
紀勢本線 紀伊長島~新宮
JR東海の紀勢本線は三重県の亀山駅から和歌山県の新宮駅を結んでいます。
紀北町~熊野市にかけてはリアス式海岸のため、開けた海というよりかは入り江。
入り組んだ地形や海沿いの集落をあわせた風景が魅力です。
トンネル走行時間が長いものの、「長いトンネルを抜けると海であった」みたいな視界の広がりが味わえるのもまた一興かもしれません。
ちなみに亀山から紀伊長島までは街中・山間を走るため、車窓から海が見えるのは梅ヶ谷駅を越え紀伊長島駅周辺から新宮駅までの区間。
22駅間のうち、海が見える有無を下記にまとめました。
梅ヶ谷駅
〇
紀伊長島駅
○
三野瀬駅
△
船津駅
×
相賀駅
△
尾鷲駅
△
大曽根浦駅☆
○
九鬼(くき)駅
〇
三木里(みきさと)駅☆
△
賀田(かた)駅
○
二木島(にぎしま)駅☆
○
新鹿(あたしか)駅☆
○
波田須(はだす)駅☆
○
大泊駅
×
熊野市駅
×
有井駅
×
神志山(こうしやま)駅
×
紀伊市木(きいいちぎ)駅
×
阿田和駅
△
紀伊井田駅
×
鵜殿(うどの)駅
△
新宮駅
※ 〇よく見える △一瞬で見づらいor河口 ×見えない ☆駅から海が見える
海の車窓を見たい方は、新宮駅から北上する場合は進行方向の右側、新宮駅へ南下する場合は進行方向の左側に座りましょう。
紀勢本線(亀山~新宮)の海が見える車窓9選+α
実際の車窓と感想、その区間の特徴を紹介します。
ランキング式も考えましたが、混乱するので三重側から順にまとめました。
個人的には亀山側から南下する方が感動があるかなって感じです。
梅ヶ谷駅~紀伊長島駅



長い山間を抜け、ようやく視界に青が現れるのがこの区間。
岬が重なり合い、海というよりかは広い河川沿いを走っているような雰囲気です。
紀北は漁港町でもあり、家々の瓦屋根の向こうには湾に浮かぶ漁船の姿が見られます。
紀伊長島~三野瀬駅





紀勢本線の旅を繰り返すきっかけになったのが、紀伊長島~三野瀬間の車窓です。
(当初、紀勢本線で最初に海が見えるのはこの区間だと思っており、山間を抜けた先に広がる海のロケーションを求めてこの場所を訪れました)。
紀伊長島駅を出るとすぐに、江ノ浦沿いの風景が流れていきます。
きりゅう造船所の場所には、2024年まで紀北名物の「NAGASHIMA SHIP YARD」(長島造船場)がありました。
「凪のあすから」にも登場した造船所ですね。
残念ながら老朽化により三十数年の歴史に幕ってことで、昨年引退になったようです。
以前撮影したはずですが写真が行方不明なので、心のなかでかつてのNAGASHIMA SHIP YARDを思い描いてください。
で、この区間は三野瀬が近づくにつれて民家と海の組み合わせに変わり、やがて波打ち際まで見えるほど海に近づきます。
車窓にバリエーションがある点も含め、おすすめ度の高い区間です。
相賀駅~尾鷲駅(河川)



この区間は内陸を走るため、海は見えません。
が、相賀駅を出てすぐに現れる銚子川が美しいので+αとして入れました。
河口なんてドブみたいな色の水が泡立ってコンビニ弁当のゴミなんかを回遊させているイメージですが、ここは驚くべき透明度で水底が見えています。
実際に上流と下流でほとんど透明度が変わらないことから「奇跡の川」「奇跡の清流」などと呼ばれている模様。
一度地下に水が潜る伏流水や、花崗岩によるろ過作用のおかげのようです。
尾鷲駅~大曾根浦駅



市街を離れると、列車は海沿いを走ります。
海といってもリアス式海岸地形ために対岸の山が迫り、青と緑のコントラストが見られる区間。
家々は古く、どこか懐かしい海沿いの風景です。
大曽根浦駅~九鬼駅



やたらとトンネルの多い区間。
次々と抜けるトンネルの合間に尾鷲湾が覗けます。
ぐるりと山に囲まれ、まるで大きな湖沿いを走っているかのような気分になりますね。
行野浦の地域では水平線が見られるもの、一瞬で終わってしまうためイマイチ……。
九鬼駅~三木里駅




この区間は、人里の向こうに広がる海という、まさに入り江の街並みを俯瞰で見られます。
海は遠いのですが、絵としてのバランスがよい。
賀田駅~二木島駅



この区間はずいぶん長いトンネルが続きます。
それを抜けた先の二木島湾と港の街並みが見どころです。
海と共に生きる人々の営みが車窓越しに広がっていました。
朝日に照らされる港町が綺麗だったので、早朝がおすすめ。
二木島駅~新鹿駅


内陸を走る時間が長いため、実際に海が見えるのは各駅の近くだけです。
しかし新鹿駅周辺では、港町と奥まった新鹿湾を、二木島駅周辺では、山に囲まれた二木島湾を見下ろせます。
リアス式海岸沿いを走っている雰囲気を味わえる区間の1つです。
新鹿駅~波田須駅





とにもかくにも美しい新鹿湾。
新鹿海水浴場は環境庁の「快水浴場100選」にも選ばれた場所らしく、納得の透き通る浅葱色とまばゆい白浜です。
間違いなく、亀山~新宮間屈指の人気車窓でしょう。
線路は新鹿湾の湾曲に沿って走っているものの、二木島~新鹿間だと上記のように集落越しの海になってしまいます。
浜辺が目当てなら新鹿駅の南西側から見るのがおすすめです。
波田須駅~大泊駅



波田須駅は、一体誰が利用するのか疑問なほど辺鄙な山間にぽつりと立つ無人駅。
ホームから棚田と熊野湾を一望できます。
二駅はトンネル同士で結ばれたような駅で、両者の間にはほとんど景色がありません。
そのため車窓といっても実際はほとんど波田須駅からの眺めです。
6月には彩度の高い位置面の苗色、8月には刈り取り前の稲穂、そして9月は夏の終わりを感じさせる稲孫。
季節の移り変わりとともにどこか寂しさを増していく光景な気がします。
海と水田の組み合わせは紀勢本線では無二の存在で、何度訪れても飽きません。
農家さんには末永くがんばっていただきたいところ。
鵜殿駅~新宮駅

ついにラスト。
大泊以降は一見海沿いを走っていますが、市街地と国道が挟まって海岸は見えません。
再び青がお目見えするのは、新宮駅の直前です。
熊野川の河口なため厳密には海ではありませんが、川幅が広いので海っぽく見えます。海に橋は掛からねえだろっていうのはさておき。
北越コーポレーションなる会社の工場が川沿いにあり、煙がたなびいているのもまたアクセントになりますね。
ちなみにこの熊野川が紀宝町と新宮市の境であり、つまりは県境です。
長い旅もようやっと終わりです。
まとめ
以上、紀勢本線のJR東海エリアの海が見える車窓でした。
紀勢本線の普通列車は全席ロング席のため車窓を楽しむには正直不向きなのですが、夢中で眺めているとそんなことも忘れてしまいます。
(ただし半身を捻りながら撮影をするため脇腹が痛くなる)
2時間ほどの時間もあっという間に過ぎ去ってしまいました。
おすすめの時間帯は早朝で、始発だと車内がガラガラなので心置きなく横を向いて眺められます。
ちなみに撮影するなら焦点距離20~40mmの、やや広角画角が収まりがよい印象です。
海が遠い場合もわざわざ切り取らずに、民家を入れる方が絵になる気がしました。
あと焦点距離が伸びるほど重いしね。2時間も構え続けていると腕が死んじゃう。
季節はやはり夏場。
紀勢の海は寂しさ漂う情緒というよりかは爽やかな青が似合います。
紀州のなにがわかるんじゃボケと言われたら困るので、冬や春の季節にもいつか訪れてみようと思います。
それでは。
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