good!アフタヌーンにて連載していた濱田浩輔氏の漫画「はねバド!」が、2019年11月6日に最終巻16巻にて堂々の完結を迎えた。
少々時間が経ってしまったが、感想を書いていきたい。
(好きだったしね、はねバド!)
「絶対しない、というか無理だろ(絵柄的に)」と思っていたアニメも放送され、長年ファンをしていた身からすると何より。
最終回数話前までは若干の尻すぼみ感も否めなかったが、なんだかんだで「ええ話だったなぁ」で終わることができた。
そんなわけで最終回の感想を交えつつ、それぞれの未来について語っていこうと思う。
ネタバレはバリバリあるので要注意。
Contents
はねバド! 最終回は2年後へ
「78thラリー」でインターハイの決勝戦が終わり、後日談を挟んですぐに舞台は2年後へと飛ぶ。
個人的に大会が終わった後の雰囲気は祭りの後感があって好き。
……まあ、大会があるような部活動やったことないけど?
一応載せておくと、インターハイの結果(準々決勝以降)は以下の通り。
- 決勝:○綾乃(27 / 27 / 30)ー ●コニー(25 / 29 / 28)
- 準決勝:
○綾乃(20 / 21 / 22)- ●志波姫(22 / 18 / 20)
○コニー(21 / 21)- ●津幡(13 / 6) - 準々決勝
○綾乃(17 /23 / 2×)- ●益子(21 / 21 / 2×)ラストゲームスコア不明
○コニー(24 / 18 / 25) - ●なぎさ(22 / 21 / 24)ラストゲーム棄権
おぞましい決勝戦。「バドミントンって何点マッチだっけ?」となる。
それにしても全国大会のシングルスで二枠を取るメンバーがいながら、団体戦県大会負けとはこれ如何に。
……と思ったけれど、2018年のふたば未来学園がまさにそれだったり。
ダブルスは益子と旭ペアが優勝、さきとスズのコンビが準優勝となる。
フレゼリシアのコンビは正直ここまで強いとは思っていなかった。
そりゃ海老名×伊勢原チームなんてボロ負けよ……。
2年後~それぞれの今~
では各面々はどんな道を歩んでいるのかというと――
なぎさ・石澤・豊橋・北小町メンバー 神奈川体育大へ
神奈川県の体育大に進学したのは、なぎさと石澤、そして愛知からやってきた豊橋。
現在は2年生。
本編では接点がなかったが、なぎさと豊橋がダブルスペアを組んでいるという意外な展開を見せる。
しかもなかなか強いようで、日本代表。
あえてなぎさと石澤を組ませなかったところがなんかいい。
この二人は友達でありライバルだよね。
理子ちゃん先輩、海老名・伊勢原の北小町メンバー3人も神奈川体育大に進学している。
海老名は「体育の先生になりたいから」、理子は「なぎさを見ているのが面白いから」という理由。
二人はマネージャーに転向し、伊勢原だけは競技を続けているようだった。
コニー・クリステンセン 世界ランク2位!
強すぎるだろ、コニー!
コニーはインハイが終わるとすぐ、デンマークへと帰国したようである。
交換留学生の制度ってそんな数ヶ月やそこらなの? と疑問ではあるが、そもそもコニーは現地で高校生だったのかすら怪しいレベル。
2年後は世界ランク2位まで上り詰め、全米OPの決勝では世界ランク1位の王麗暁と対戦する。
――ママぁ!!!!
ここでなんと、ママこと神藤有千夏は死んでいることが明かされる。
なお決勝でコニーは惨敗した。
津幡と久御山は実業団へ
三強の中では最弱と揶揄されていた津幡だが、高校卒業後は実業団入りを果たした。
現在は日本代表。
全米OPでは3回戦で王に負け、全日本総合では綾乃に負けて準決勝。
20歳にしたら中々の成績をおさめているようである。
3年生のメインキャラで実業団へ行ったのは津幡と久御山(京都代表の子。本編ではあっさりなぎさに負けた)のみ。
まあ、実際バドミントンはインハイ上位勢も進学するから、ここら辺はリアルな描写だと思う。
なぎさと立花の恋愛話はどうなったの?
そういえばなぎさは、準々決勝の時に立花に告白していた。
この作品唯一の恋愛要素である。
「あれどうなったんだ?」と思ったら、そこそこ上手くいっているようなことが書かれていた。
しかし付き合っているわけではなく、『今はお互い競技に集中しているの!』とのこと。
まあ、そのうち結婚とかするやろ(適当)。
立花は大学卒業後、バドミントン日本代表のスタッフに入った。
そういえば最後まで立花の年齢は明かされていなかった気がするが、一体彼はいくつなのだろう。
実業団入りのあと引退して大学に進学しているから、実はもう20代後半なのでは? と思ったり。
松川が語る有千夏の最期
バトラッシュの記者にして元同僚である松川が、綾乃の母・有千花の最期の姿を回想する。
ラストまで曖昧にされていたが、有千夏は癌だったことが明かされた。
墓石には2016年12月と彫られているため、インハイ後3ヶ月ほどで亡くなってしまったようだ。
最期まで娘とバドミントンのことだけを考えていた彼女の生き方を羨む松川。
綾乃とコニーとも和解し、最期の時間は3人で過ごせたみたいでなにより。
話の根源でもあった彼女たちの関係だが、3人の揃ったシーンにあえてセリフがないのはいいのかもしれない。
ただ、有千花の言動は常人には理解できないだろうから、ここは賛否が分かれそう。
もう少し深堀というか、彼女の心情を語る場面がってもよいような気がしたが……。
けれど真の天才の考えは、常人の理解を越えてしまうものかもしれない。
そういう意味では綾乃が見せる意味不明な思考回路は母さん譲りということだろう。
母の墓前で語る二人の娘
ようやく主人公の登場。
国際大会はすべて辞退している綾乃に、「ママの一番弟子なんだから麗暁とはもう一度ちゃんと戦った方がいい」というコニー。
綾乃はインターハイからすべての国内大会で連勝しているが、国際大会には出場していない。
日本代表も辞退しているようである。
理由は「今は普通の生活を優先したいんだよね。友達と過ごしたり一応勉強したり」とのこと。
高校卒業までは国際大会に出ない姿勢を貫いていた。
コニーと綾乃はいまでは姉妹であり、友人でありという良好な関係を築いている。
綾乃がコニーのことを呼び捨てにしていた点からも、二人の仲がうかがえた。
フレ女のメンバーはいまだ仲良し
ここまでキャラが多いと後日談を1話でまとめるのは大変だろうなぁ、と思いつつ全員描いているところがすごい。
多賀城は高校卒業後、ヴィゴの強化選手として日本代表を目指している。
ちなみにその強化選手には同じく二年生組の狼森も参加しているようだ。
ヴィゴはすっかりお爺さんの容姿になっていたが、実際は2年しか経ってないよな?
コニー・志波姫・多賀城をのぞくメンバー4人は、宮城体育大という地元の体育大に進学していた。
相変わらず仲が良い。
バドミントンは続けているので、インカレなどではそこそこ活躍しているのではないだろうか。
志波姫と益子、バドミントンを辞める
一番の衝撃ですわ。
有望と言われていた世代のトップ2が揃いも揃ってバドの世界から退いているのはさすがに笑う。
間違いなく大学からも実業団からもスカウトが来ていただろうに……。
志波姫はアメリカの大学に留学し、海洋物理学を学んでいる。
(そういえば釣りが好きだって言ってたね)
彼女はまあ、ちょくちょく『バドミントン以外の生き方』について話すシーンがあったので、そっちの道を選択したのだろう。
復帰予定があるのか、現状競技に関わっているのかはわからない。
以前「部活動としてのバドミントンを一番貫いているキャラ」と彼女を称したことがあったが、本当にその通りになってしまった。
余談だが、志波姫の机の上に置いてある写真が若柳も入った集合写真でなんだか嬉しかった。
わずかな間でもルームメイトだった若柳は、志波姫にとっても大切な存在だったのだろう。
(若柳は番外編の小説にのみ登場するキャラクター。志波姫の後輩であり、多賀城のライバルでもあった)
一方の益子は大学に進学し、幽霊バドミントン部員になっている。
ロクに講義にも出ず、同じ学校に進学した旭に食事の世話をしてもらうというニート大学生っぷり。
最前線からは退いたものの、完全にバドミントンを辞めたわけではなく、曰く「神藤待ちしている」。
綾乃が本格的に代表入りをしたら、彼女も本気でバドミントンの世界に戻ってくるのかもしれない。
「2年のブランクはやばくね?」とも思うが、彼女ならどうにかしてしまうそうだ。
やっぱりブラコンで可愛い。
志波姫も益子も、ともに綾乃と戦った二人。
準決勝、準々決勝の戦いが彼女たちの未来に影響を与えたのは言うまでもないだろう。
かつて時代を作った二人がいつの日か前線に戻る日が来るのか来ないのか。
こういう終わり方も悪くはないと感じる。
ちなみに益子と旭と同じ大学に、横浜翔栄のペア(橋詰&重盛)も通っていた。
サークル活動ではあるがバドミントンは続けているようだ。
この二人はまあ、競技で食べていけるほどの実力ではないからリアルな感じがある。
綾乃VS芹ケ谷 高校九冠をかけて
夏・秋・春の大会に加え、今年からヴィゴ・キアケゴー財団による「エキシビジョントーナメント」が開催されることになった。
ラストはその決勝戦の舞台。
高校すべての全国大会で優勝している綾乃は、9冠をかけて決勝の舞台に立つ。
対する相手は、1年春からすべて準優勝を飾っていると紹介されたライバル・芹ヶ谷。
なんだかんだで綾乃のライバルポジは彼女であることを再認識するラストだ。
夏はインハイ、春は選抜。秋は全日本ジュニア。
いや3年間、全部優勝はさすがにすごい。
インハイ三連覇の女子って、リアルでも山口さんが史上初で男子に至ってはまだいないくらい。
半端ない快挙。
はねバド!は主人公チート作品みたいなところが確かにあったけれど、それを最後まで貫いた作品になったということだろう。
なぎさに負けて以降、公式戦連勝記録を達成しているらしい。
綾乃の功績が異常で霞んでしまっているが、芹ヶ谷も十二分にとんでもない実績を持っている。
そんな彼女たちの世代が世界に出るようになったら、日本のバドミントン王国が始まると予見する立花。
2人の試合を観るために、メンバー総集合!
最終回です! みたいなわちゃわちゃした雰囲気が好きな自分にとっては、嬉しいラストとなった。
「バドミントンは嫌いだからやらない!」と言っていた綾乃の成長譚・完
一応サブタイトルに『The Badminton play of Ayano Hanesaki!』が付いているだけあるね。
つーかタイトルが多分「羽咲綾乃のバドミントン」の略だわ、普通に。
まとめ
6年間の長きにわたり綴られた彼女たちの物語もついに終わってしまった。
理子ちゃん先輩が最後に良いことを言っているが、まさにその通りだろう。
バドミントンという競技を通して描かれた、彼女たちの物語を知ることができて本当に良かった。
作画変更とか闇落ちとか、色々にキャッチャーな部分で話題にもなったけれど、スポーツものとしては異色な部分もあり、それでいて王道要素もあり楽しむことができた。
日本のバドミントンが今メチャクチャ強くなってきているので、五輪を機にもう一度この作品が盛り上がって欲しいなぁ、とかは思う。
(なにせバド主体の漫画が少ない)
濱田先生にはぜひ次もスポーツものを描いて欲しいところだけど、なんにせよ引き続き追っていきたい。
6年間ありがとうございました!
【追記】
濱田先生はダークファンタジーものを描いておられる模様。
(個人的)名シーンをまとめたランキングも作ったので、こちらも併せてぜひ。
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以降はポイント制だが、試しに読んでみたい人や電子書籍で読みたい人にはおすすめ。
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