どうもこんにちは。
文章力の向上に人生をかけているあまぼし(@S_amaboshi)です。
これは私にとって長年の課題であり、隙あらば日々考えています。
しかし困ったことに明確な答えはありません。
とにかく文章を読む、書く、語彙力をつける……など。
さまざまな方法が飛び交うなか、今回私が目を付けたのは『写本(小説写経)』
小説をそっくりそのまま書き写すトレーニングです。
既存作品を一文字一句真似ることで、プロの文体、息遣いを自分の文章に取り入れる。
この練習方法は、ネットの海や文章力向上の指南書でも「かなり効果的」だと言われています。
書き写すという具体的かつ再現性も高い点が人気の理由でしょうか。
実践する人も多く、私も行っています(挫折回数の方が多い)
効果的なトレーニングとして確立されている一方で、たびたび挙がる疑問がひとつ。
『小説写本はパソコンがいいのか手書きがいいのか』問題。
PCが普及した今、プロの作家さんもワープロ原稿になっているわけですが、「小説写本は手書きがいい」派も存在します。
「どっちがいいですか?」という質問もよく目にしますね。
この問題にも当然答えはありません。
答えがないので、私は手書きとパソコン、両方でひとつの作品を写本してみました。
結果、どちらでもよいという結論に辿りつきました。
というより、パソコン打ちにも手書きにも良い点・悪い点があるんですね。
この記事では、実際に小説写本をパソコンと手書きで試して感じたメリット・デメリットをまとめています。
という方の参考になれば幸いです。
- 小説写本が文章力のトレーニングとしておすすめな理由
- パソコンで小説写本をするやり方・メリットデメリット
- 手書きで小説写本をするやり方・メリットデメリット
Contents
写本(小説写経)がおすすめな理由
この記事にたどり着いた方は、多少なりとも小説写本に興味がある方だと思います。
すでに効果は知っていて、「パソコンか手書きかの話を知りたいんだ!」という方は飛ばしてください。
実際に自分で書くことで、どのような効果が得られるのでしょうか?
主なものを4つあげてみました。
物語構成の技術がわかる
書き写すことで、物語をより深く読み込むことになります。
起承転結(ストーリー)の流れや、伏線の張り方、登場人物の感情の動き。
小説の構成も学ぶことができます。
作文のルールがわかる
句読点の使い方や、括弧の使い方など。
小学校のころに習った文章におけるあれこれって、意外と忘れがちです。
プロの文章を写すことで、作文ルールが身につきます。
そういえばブログでは字下げをやらないですね。
大手サイトはやっていますけど。
読みやすい漢字の使い方がわかる(開きの法則)
写本を続けていると、どの漢字を開けばよいのかが何となくわかってきます。
開くというのは、漢字をあえて平仮名で表記するということです。
(例:時→とき 出来る→できる)
すべて漢字に変換すると読みにくいため、一部の漢字を開く人が多いです。
ただ人によっても違うので、個性の域かな、とも思います。
マイルールを作る参考にはなりますね。
正しい文法・日本語が身に着く
間違った文法や語彙を使い続けていることはよくあります。
例えば、「彼は久しぶりのデートで浮き足立っている」という一文。
この文章は正しくない表現ですが、誤っている点はどこでしょうか?
『浮足立つ』をこういう気分↓だと思っている人もいるかと思いますが、
実際はこう。(不安や恐れで落ち着かなくなる。逃げ腰になるの意)
ウキウキ気分の方は『浮き立つ』
こうした言葉の誤用や間違って覚えている語彙は、プロの文章を書き写す中で気が付くことがあります。
写本(小説写経)のやり方・重要なポイント
今回「写本のやり方そのもの」にはあまり着目していないので、簡単に流します。
写本をやる上で、一番重要なポイントは、作業にしないこと。
ただ書き写したり、タイピングをしたりしていくのはいけません。
一文一文、もっといえば一節ごとに意識しながら、文章を写していきましょう。
音読をや口の中で読んでみたりするのが効果的。
写本(小説写経)で選んだ作家・作家の選び方
ではここからは実際に小説写本を行った感想についてまとめていきます。
まず今回写本用に選んだ本は、山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』
キャッチーなタイトルだから選んだわけじゃないですよ!
この小説めちゃくちゃ好きなんです、マジで。
2004年、第41回「文藝賞」を受賞し山崎ナオコーラさんのデビュー作となった作品。
芥川賞の候補にも挙がりました。
主演・永作博美さん、松山ケンイチさんで映画化もされているので、知っている方は多いかと思います。
(映画の方はずいぶんと内容が改変されていますが)
このタイトルのインパクトはなかなかでしたね。
しかもデビュー当時、私は『山崎オナコーラ』さんかと思い「過激すぎィ」と驚いたものです(ころされんぞw)
本当に好きな作家さんの一人なので許してください。
ちなみにダイエットコーラがお好きだとか。
内容自体は今回関係ないんですけど、ざっくり説明すると、主人公が20歳年上の女講師と不倫する話。
主人公・磯貝みるめは悪びれもなく既婚者である39歳の講師・ユリと恋人になり、熟女マニアよろしくベタ惚れしていく
当然のように旦那にバレ、しかし修羅場が起こるわけでもなく、3人で夕食を囲むという狂気みたいな展開に発展
大したきっかけもなく、やがて唐突に2人の恋人関係は終わる
みるめは抱えた傷をそのままに生きていこうと誓う
マジでこれだけ。でも本当に素晴らしい作品。
……それはさておき。
「写本向きの本は故人の本」とか「50冊以上書いている人の本」とかいろいろな意見がありますが、自分は好きな作家でいこうと思います。
- 古い文豪(芥川龍之介など)や、世間の評価が高い作家(村上春樹など)
- 「この人みたいな文章を書きたい!」と思える人(好きな作家)
ここらへんから2人ほど選んでみるのが良いのではないでしょうか。
だた、あまりにクセが強い文章を書く作家はおすすめできません。
「その人がやるからいいのであって……」みたいな文体が身についてしまい、エラいことになります。西尾維新さんとかね。
手書きで行った感想・メリットデメリット
原稿用紙が推奨されていますが、今回は大学ノート(B5・7mm)を利用しました。
初っ端からタイトルを間違える痛恨のミス!
数行書いたところで大学ノートの縦書きは難しい、と感じ横書きに直しています。
- ページ数:B5・7mmの大学ノートで47ページ(文字数は3万字ほど)
- かかった時間:約12時間(10/25~11/13)
大学ノートは結構文字を小さめに書かなくてはいけないため大変でした。
手書きの際、紙媒体の本ですと片手で押さえていなくてはいけません。
kindleを使用するとそのストレスが無くなるのでおススメです。
より時間をかけるため、漢字や単語、言い回しに意識が向きます。
一方で「同じ表現が幾度使われたか」とか、文章の長短のバランスだとかを分析するには向いていません。
パソコンで行った感想・メリットデメリット
次にパソコン。
マイクロソフトのWord2010を使用しています。
レイアウトはとくに変えず、初期設定の40字36行。
- ページ数:40字×36行で38ページ(文字数は3万字ほど)
- かかった時間:約8時間(11/14~12/8)
手書きの場合より、4時間ほど短縮されています。
こちらもkindleのWindows版を利用しました。
(Windows版はキンドルを持っていなくても無料で利用できます)
Kindle for PC (Windows) [ダウンロード](無料)
手書きで写本するより、やはり労力は少なめです。
文章を選択することで文字数はカウントできますし、検索機能もついています。
そのため後々見直して分析をするにはPCが向いていますね。
一方で文体や表現に対する意識は、手書きの時よりも低くなってしまいました。
パソコンと手書き、どちらが効果的なのか?
冒頭でも述べたとおり、一長一短、手書きもパソコンも大差ありません。
大事なのはむしろ「どれだけ意識して、考えながら写すか」という点。
今回はあまり行っていないのですが、写本をしながら気づきのポイントは逐一メモを取った方がよいでしょう。
次からはもっと読み込みながら取り組みたいです。
自分の文章を推敲する際は、パソコン打ちした文章を横に並べて比べながら修正していくと、はかどります。
文章力そのものの向上は「手書きの写本の方が早い」と言われていますが、初めて行う人はパソコンをおすすめします。
というのも、手書きは時間かかるので挫折しやすいです。
5ページくらい写してやめたことが何度あったか……。
出来ることならば、両方やった方がよいというのが最終的な私の考えになります。
いずれにせよ、まだ1冊なので劇的な効果は見られません。
これから半年~1年ほど本気で取り組んでみる予定です。
どれほどの効果があるのか時々更新していきますね。
以上です
【追記】
2019年12月~2020年4月現在、毎日実行中です!
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