どうもこんにちは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
飯田線に属する難読な秘境駅・為栗駅を訪れました!
読み方は「してぐり」です。
駅の目前には、ゆったりとした流れの天竜川。
「為栗」という駅名が用いられている理由も、実は天竜川と大きな関係があることがわかりましたので、駅の周辺の様子と共に紹介していきます。
為栗(してぐり)駅とは?
為栗駅は、長野県下伊那郡天龍村にある、JR東海飯田線の駅です。
1936年(昭和11年)に開業し、単式ホーム1面1線を持つ地上駅になります。
1日の平均乗車数は4人と(飯田線秘境駅の中では)多い方ですが、周囲に人家はありません。
戦前には集落がありましたが、平岡ダムにより水没し、民家は消えてしまったのです。
駅の裏に二軒だけある家屋も、現在では無人となっています。
天竜村の玄関口でもある平岡駅と、阿南高校の最寄り駅である温田駅の間で、ひっそりと位置している無人駅です。
「秘境駅へ行こう!」の著者として有名な牛山隆信氏のホームページでは、2019年時点で「全国秘境駅ランキング」の16位にランクされました!
「してぐり」と天竜川の関係
為栗駅は、難読駅としても有名です。
初見で読める人はまずいないでしょう。
駅名の由来ですが、かつて周辺は為栗と呼ばれる集落でした。
為(して)は水を意味する「湿」(しつ)が変化したもので、栗は「えぐる」という意味の「刳」(くり)が読み方を残して形を変えたものになります。
湿栗……水に抉られた場所、という意味をあらわした地名であると言われています。
ここでの水は天竜川のことで、為栗とは「天竜川に抉られた所」を意味する集落でした。
実際に為栗駅から少し南下した場所は、かつて天竜川の急流が岸壁を削って作り上げた地形です。
為栗と信濃恋し
為栗駅を15分ほど南下すると、「信濃恋し」と呼ばれる名勝があります。
現在ではゆるやかな天竜川も平岡ダム建設以前は急流であり、為栗という地名を作り出すほどでした。
そのため蛇行した地形は、かつて差し掛かると船が上流に押し戻されるように、船先が逆方向(上流)を向いてしまう場所でした。
その様子が「信濃が恋しい」と訴えているようであるため、「信濃恋し」という名称がつけられたのです。
愛し合う男性と別れ奉公に行かなくてはいけない女性が、この逆流で故郷へ帰ることができたという言い伝えから、信濃恋しには3つの恋伝説があります。
- 恋人同士が信濃恋しに小石を投げれば、結ばれる
- 夫婦が信濃恋しに小石を投げれば、円満に暮らせる
- 2つの小石それぞれに自分と相手の名前を書き、信濃恋しに投げれば願いが叶う
こんな人里離れた場所に、随分ロマンチックな伝説ですね。
為栗駅の行き方・時刻表
為栗駅は、周辺まで来るまでのアクセスが可能です。
しかし駅前の橋(天竜橋)は、車で通行することはできません。
車の場合
県道1号線を為栗駅に向かい北上、または南下すると、東側に「ふるさと味覚小屋」というレストランが見えてきます。
その脇道から県道430号線に入ることができます。
天竜橋直前までは、車での進行が可能です。
電車の場合
一部の普通列車は為栗駅を通過しますが、唯一の快速列車が朝停車します。
為栗駅時刻表(平日・休日)※2019年9月時点
時刻 | 豊橋・平岡方面 | 天竜峡・岡谷方面 |
6 | 26 伊那松島 | |
7 | 24 豊橋 ※快速 | 9 伊那松島 58 飯田 |
8 | 39 飯田 | |
9 | 46 中部天竜 | |
11 | 40 天竜峡 | |
13 | 18 豊橋 | 13 岡谷 |
15 | 39 豊橋 | |
16 | 48 天竜峡 | |
17 | 18 豊橋 | 56 岡谷 |
19 | 11 豊橋 | |
21 | 40 平岡 | 55 天竜峡 |
22 | 54 平岡 |
岡谷からは3時間半ほど、豊橋からは2時間50分ほどで、やや豊橋寄りの駅です。
為栗駅の周辺・魅力
9月6日、13時17分ごろ、為栗駅に到着。
滞在時間は25分少々と短めなので、駅前周辺だけをさっとめぐることにしました。
だいたいの飯田線秘境駅と同じく、駅舎はなく小さな待合室がホーム沿いにあります。
大きなカマキリみたいな虫が3匹ほどいましたが、比較的綺麗な駅です。
駅ノートもありました。
ホームを出ると、駅前には湖のように流れのゆるやかな天竜川が広がります。
また、してくり橋と呼ばれる小さな橋がかかっていました。
こちらの橋は「してくり」で、濁らないみたいですね。
南側は駅を出てすぐにトンネル。
その脇の道を上っていくと、長いつり橋・天竜橋がありました。
この橋が幹線道路と駅を繋ぐ唯一のルートとなるため、もしも橋が落ちたら……金田一少年の舞台みたくなっちゃいます。
橋は自動車進入禁止。物理的に入りません。
この道路から徒歩20分ほどで県道1号線に出ることができるため、比較的秘境感の薄い駅ではあります。
橋の作りは頑丈で、渡ってみた感じも吊り橋にしては安定しています。
橋からは広々とした天竜川と鉄橋、
そして崖下に位置する為栗駅の待合室を眺めることができます。
全体的に明るく、周囲は鬱蒼とした色も少ないため観光客向けですね。
実際にこの駅では他に3人の人が降り立ったため心強かったです。
まとめ
以上、為栗駅の様子でした。
近隣には和知野川キャンプ場のほか、食事処もあり案外開けている駅です。
駅から1kmのところにある「ふるさと味覚小屋」はカレー・スパゲティーを中心とする洋食屋なので、為栗駅での滞在時間が長い場合は寄ってみてもいいのではないでしょうか。
夜は予約制ですが、ランチは水曜日以外営業しているようです。
天竜川に作られ、天竜川のほとりに位置する為栗駅。
橋からの景色は絶景なので、ぜひ1度見に来てみてください!
以上です。
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