どうもこんにちは、あまぼしすずめ(@S_amaboshi)です。
今回は小説というよりは、ブログ寄りの文章術についての話をします。
先日図書館で見つけたこちらの本。
「バズる文章教室」 著:三宅香帆
下着でブログ更新……するか?
破廉恥。
でもまずは形から入らないとね、ってことでマネしてみた。
絵面が汚いわ!
バズっていうか炎上しそう。
朝っぱらから極寒の部屋でパンイチになって、カメラの前で寝っ転がって……
本当、アホみたいですね。
しかもこれ、DSじゃねえか!
カセットの中身は『ポケットモンスターさん』です。
最近はタイトルにも敬称を付けないといけないみたいで、大変ですね。
……と、おふざけはここまでにして、本書の紹介に入ります。
著者の三宅さんは、『小説批評』というジャンルでブログを書いていたところバズり※、はてなブックマークで総合年間2位を獲得するに至った方です。(2016年)
主にネットを中心に爆発的に拡散・認知されること
蜂の群がる音『buzz』を元にした口コミマーケティング(バズマーケティング)が由来になっている
三宅さん曰く、「自分はプロ並みの文才があるわけでも、特別な知識があるわけでもない人間」とのこと。
私の文章はプロ並みに上手いわけじゃありません。話の脱線、日本語の間違い、誤字脱字だって多い。持っている情報にものすごい価値があるわけでもない。
さらに打ち明けると、もともとSNSのフォロワーが多いわけでもなく、最新テクノロジーとかお金稼ぎとか、暮らしに有益な情報を持っているわけでもなく、かわいい猫を飼っていたり、気の利いたイラストが描けたりするわけでもありません。私がふだん書くのは、むしろ「小説の批評」という、あまりにもニッチな分野。読者はぜったい少ない! と思われる分野です。
でもそんな分野でも、何度も「バズる」ことがあったんです。
引用:三宅香帆「バズる文章教室」
高学歴の人って何やっても成功するからなぁ…
おっと卑屈はいけないいけない。
平凡な人でも、バズる文章は書ける。
本書は書かれている情報ではなく、文章そのものに価値を出す書き方を考えたものになっています。
ブログやツイッターを始めたものの、こんな悩みを抱えてはいないでしょうか?
- フォロワーも少ないし、拡散力がない……
- 特別な情報も有益な情報も持ってないよ
- 人と違った専門知識や功績なんてないし
「バズる文章教室」では、SNSでの拡散力・有益な情報・専門知識、といった『特別』を持たない人でも「バスらせる」文章テクニックが紹介されています。
この記事では実際に私が本書を読んでみて、「有用そうだな」「取り入れることができそう」と思った5つの文章術をまとめました。
ブログ・SNS運用の参考にしてみてください。
「バズる文章教室」 再現性が高い5つの文章術
「バズる文章教室」は『面白い文章・また読みたいと思う文章』という、文芸的な面に価値を置いています。
そのため『的確に伝える』という技術面については、触れていません。
内容や情報の価値ではなく、文章で楽しんでもらうことを最優先にしているのです。
この点だけは最初に理解しておいてください。
個人的に本書は、
「○○するべき」「××はいけない」という凝り固まった昨今のブログのあり方に疲れてしまった人、疑問を感じている人向けの本になっていると思います。
そのため読んで身に着くのは、ブログを伸ばすための技術とは少し違います。
でも文章で生きていくと決めた人なら、やっぱり文章で人の心を動かしたいですよね。
いわゆる『文才』と呼ばれるものの法則を探り、言語化してまとめた内容です。
40人を超える著名人の文体を分析・紹介しています。
全員を紹介すると多すぎますし、全部取り入れたらよいというものでもないでしょう。
今回は私が読んで「取り入れやすい」と感じた、再現性の高い技術を5つ紹介します。
バズるつかみ 佐々木俊尚
文章は始めが肝心。まずは掴みについてです。
紹介されたのは、ジャーナリスト・評論家である佐々木俊尚氏。
社会学やIT業界に関する多くの本を出しています。
今回取り上げられたのは「ジャーナリストの視点」の一節です。
世界を代表する三つの国の映画産業――アメリカ映画とフランス映画、そして日本映画の違いって何だろうか? そういう問題提起がある。
観点はさまざまにあるから単純化しすぎるのは危険かもしれないが、こういうひとつの切り口がある。「アメリカ映画は物語を描き、フランス映画は人間関係を描き、日本映画は風景を描く」
引用:佐々木俊尚「ジャーナリストの視点」
原文がCNET Japanにあったので、続きが気になる方は読んでみてください。
冒頭からは読み取れませんが、この文章のテーマは『アメリカ映画・フランス映画・日本映画の違い』ではありません。
最終的に「日本という国の文化のあり方」にたどり着きます。
でも初っ端から「各国の文化差からみる日本は~」という話を始めたら、堅苦しい。
そこで佐々木さんは、身近なテーマである『映画』という文化を先にだして、読者に興味を持ってもらうよう仕向けているのです。
三宅さんが評価している佐々木さんの文章術は次の2点
- 身近な話題を最初に投げかけている
- 読み手にとって遠い話題を、近くへ持ってきている
とくに②が重要で、ブログでも専門的な話をする場合があるかと思います。
そんな時に、ユーザーにとって遠い話(わかりにくい話)を身近にできるかどうかで、続きを読まれるか分れます。
ポイントは、「レベルの高い話でわからないよね?」という上から目線にならないようにすること。
あくまで読み手がわからないのではなく、話題が近くにないだけ。
読み手にとって近い話題から始めれば、良い掴みになるということでした。
書き出しは読み手が興味を持ちそうな話・身近な話題からはじめる!
バズる文体 村上春樹
お次は文体。
ノーベル賞の風物詩!? 小説家の村上春樹大先生です。
彼については文章のリズム、という点に触れられています。
村上さんの作品を読んだことがある方は、何となく納得できるかもしれません。
彼の文章には、読ませる独特のリズムがあります。
今回は「リズム・リズム・リズム」の一節が紹介されました。
音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。
引用:村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」
同じ意味の言葉を何度も繰り返すんですね。
そして語尾をそろえて、韻を踏む形にする。
小説ではよく行われる技法ですが、やはり村上先生は上手い。
三宅さんはこの一文をさらに解析し、
おいらの言っていることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。
後半が5音と9音で揃っているため、リズミカルに感じると述べています。
そしてこのリズムを真似るもっとも簡単な方法は『一文を短くする』ことだと結論付けました。
ブログ小説でも、共通ですね。
短い一文の繰り返しには、リズムが生まれます。
これは意識的にすぐ取り入れられる技術なので、真似してみてください。
一文を短くして、リズムをつける
バズる文体② 林真理子
もう一つ良いと思った文体篇を紹介。
林真理子さん。
女性を中心に不動の人気を得ている小説家・エッセイストです。
具体的かつリアル。それでいて印象的なコラムは多くの人を魅了しています。
林真理子さんのコラムは感情が乗っているから一気に読める。正直な思いだからすごく自然。書き手の体重を感じる。今週の「夜ふけのなわとび」冒頭は「しばらく呆然として、次に猛烈な怒りが湧いてきた」。日大の話題。1行目からするっと世界に入れて最後まで連れて行かれる。こういう文章が書きたい。
— 竹村俊助/編集者 (@tshun423) June 3, 2018
今回紹介されたのは「美人入門」という『anan』に連載されているコラム。
私はこの年になってやっとわかったことがある。他人の恋愛にむやみに興味を持ちたがる女というのは、決して主人公にはなれないのだ。
「あの人とあの人とはデキているらしい」
という噂に異様に興奮したり、張り切って言いふらす女というのは、絶対に、「デキているらしい」方の女の人にはなれないのである。
引用:林真理子「美人入門」
三宅さんは林さんのファンであるようで、やけに熱がこもった解説になっていました笑
林さんの文章で特に注目されたのは、「」(カッコ)の使い方。
会話・台詞を入れることで読みやすくし、かつ印象に残す一文にしているのです。
小説でもそうですが、会話文は読みやすいです。
適度に「」を入れることで、文章をスムーズに見せることもできます。
カッコに関しては以前から私も、意識的に使用するようにしていますね。
ブログでは吹き出しも使えますが、文中でも台詞演出を入れるとより読みやすい文章になります。
「」(カッコ)を入れて台詞調に! = 読みやすくなる
バズる組み立て 高田明
誰? って思いました?
テレビショッピング『ジャパネットたかた』のたかた(高田明)さんです。
この本を読むまで、私は本名を知りませんでした。
セールストークをやらせたら右に出る者はいない、というくらいの高田さん。
彼の話の組み立て方(構成力)こそバズるモデルであると三宅さんは解説します。
「普段の生活でこんなことはありませんか。立った姿勢で靴下をはくのがきつくなった。買い物カゴを持つのが辛くなった。布団の上げ下ろしがしんどい。だったら足腰を鍛えましょうよ。街中を見てください。ウォーキングしてる人が多いでしょう?」
引用:高田明「伝えることから始めよう」
……で、まあここからウォーキングシューズの紹介になるわけですが。
高田さんのセールストークが素晴らしいポイントは2つです。
- 「あるある」「わかる~」から始めている
- お客さんにとっての商品の価値を説明している
とくに②が重要で、お客さんにとってのシューズの良さを話すことに徹底しています。
靴の性能や機能はさておき、「この靴を履くとどうなるのか?」という結果にフォーカスしているのです。
これはアフィリエイターの間では、常識かもしれません。
もちろんセールスだけではないのです。
「読み手にとって面白いとは何か?」を考えることが、文章を書く上で大切になってきます。
高田さんの文章(トーク術)を取り入れるのは少々難しいです。
すぐには真似できずとも、「受け手(読者)にとってプラスになること・面白さとは何か?」を考える習慣をつけてみましょう。
……まあ、私は自分だけが面白い内容のニッチな小説、よく書きますけどね笑
読み手・受け手にとっての価値を考える
バズる言葉選び 俵万智
最後は言葉選びです。
これはもう文章そのものに特化した技術ですね。
意識して取り入れられると思ったのは、俵万智さんのカタカナ強調。
俵万智さんと言えば有名な歌人です。
『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日
引用:俵万智「サラダ記念日」
この歌は「ごはん記念日」だったらインパクトが薄かったと、三宅さんは述べます。
俵万智さんの歌には、カタカナが使われることが多いです。
カタカナは目立ちます。
ゆえに注目して欲しいポイントが、わかりやすいのです。
これは文章でも有効ですよね。
ブログでしたら強調したいところを太字にしたり、マーカーを引いたりすることもできます。
しかし文章中であえてカタカナ表記にすることで、インパクトを与えるという技法もあるのです。
「具体的にはどこをカタカナにすればいいんだよ!」って話ですが、そこは適宜考えてみてください。
漢字にしたらごちゃごちゃする、平仮名が続きすぎている、という時にも使えます。
例えばですが、
あの歌手の人気具合は半端じゃなかった ⇒あの歌手の人気具合はハンパじゃなかった
(半端ねえ! が協調された感じしません?)
おすすめをおススメにしてみたり……
文章内の平仮名・漢字・カタカナのバランスを考えてみると良いでしょう。
気付いてもらいたいところを、カタカナで強調
「バズる文章教室」まとめ
5名の方を参考に、取り入れやすい効果的な文章術をまとめました。
少しずつブログや日々の文章に取り入れてみてはいかがでしょうか?
たしかにブログは文章より、書かれた情報に意味があります。
一方で文章そのものも大切にしたいという思いは悪くないと思います。
その点において、「みんなに楽しんでもらいたい」という点を工夫し続けた三宅さんのスタイルは好感が持てました。
通して読んでいても、文章に対する愛を感じます。
上記のように著名人ごとのバズるポイントが解説されていますので、興味のある方は読んでみてください。
以上です
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